わたしたちが何気なく使っている電気は、遠くの発電所で作られ、長い距離を送られてきています。 電気をいつでも快適に使えるように、電力会社では、さまざまな調整をしているって知っていますか?
その7「再生可能エネルギーをもっと使うには(前編)」では、再生可能エネルギーの中でも近年増えている「太陽光」や「風力」で作った電気を、もっと活用していくために考えなければならない課題を紹介します。
日本の発電方法の多くを占めている火力・原子力・地熱発電や水力発電は、蒸気や水の力で、発電機の中の磁石を回転させて発電しています。
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そして、送電線でつながっている全ての発電機の磁石は、同期して電気的に同じ速度とタイミングで回転しています。
「使う電気」と「作る電気」の大きさを合わせることで、発電機の回転速度を維持しています。
回転速度を維持することは、周波数を一定に保つために重要です。
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発電機の中の磁石を回転させて発電している発電所を「同期電源」と呼び、現在の電力系統では、同期電源が占める割合が多くなっています。
もし、発電所や送電線で事故が起こって電気が送れない発電機ができてしまった場合、残った同期電源に「同期化力」が働き、さらに同期電源が持つ「慣性」によって、発電機の回転速度の低下が抑えられ緩やかになります。
送れなくなった分の電気がまた送れるようになるまでの間、回転速度の低下が抑制され、周波数の急な変動を防ぐことができます。
つまり、同期電源の性質によって、電気を安定して送ることができています。
一方で、太陽光や風力発電所は「インバータ電源(非同期電源)」と呼ばれ、今は同期電源のような「同期化力」や「慣性」を持ちません。
もし事故が起こった場合、インバータ電源がたくさんつながっていると、周波数の急な低下を抑えられなくなって、停電になってしまう可能性があります。
そのため、同期化力や慣性を持つ発電所も一定の割合で必要です。
太陽光や風力発電は、天気や時間帯によって、発電できる電気の大きさが変動して、必要な時に必要な分を発電して送れません。
そのため、燃料や水で作る電気の大きさを調整できる、火力や水力発電も必要です。
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電気を安定して送りながら、再生可能エネルギーをもっと活用するには、それぞれの発電方法の特徴を理解して、色々な課題をクリアしていく必要があります。
後編では、課題解決に向けた取組みを紹介予定です。