わたしたちが何気なく使っている電気は、遠くの発電所で作られ、長い距離を送られてきています。 電気をいつでも快適に使えるように、電力会社では、さまざまな調整をしているって知っていますか?
その5「『無効電力』で電圧を調整する」では、品質の良い電気を安定して送るために必要な3つのカギのうち、電圧を一定に保つことについて詳しく紹介します。
発電所から送られてくる電気の電圧は、使う場所に合わせて決められた範囲に保たれています。
でも電圧は、使う電気の大きさによって変わってしまうことがあります。
交流の電気には、電気機器を動かすときに消費される電力=有効電力と、電気を送ったり電圧を調整するために必要な電力=無効電力が含まれています。
無効電力は、モーターや変圧器などの中に入っているコイルに電気が流れると消費されます。そして、無効電力が消費されると電圧が下がります。
反対に、コンデンサに電気が流れると無効電力が供給され電圧が上がります。
送電線や地下ケーブルは、電気を送る大きさによって、コイルやコンデンサと同じ働きをします。
日中、たくさんの電気を送るときは、コイルの性質が強くなって、無効電力が消費されて電圧が下がります。
夜中、あまり電気を送らないときは、コンデンサと同じ働きをして、無効電力が供給されて電圧が上がります。
電圧を一定に保つために、電力会社では、変電所に大きな電力用のコイルやコンデンサを設置しています。
電気をたくさん送っているときは、コンデンサをつないで無効電力を供給し、電圧が下がりすぎないようにしています。
電気をあまり送っていないときは、コイルをつないで無効電力を消費させ、電圧が上がりすぎないようにしています。
変電所には、発電所から送られてくる高い電気の電圧を使う場所に合わせて下げる役割と、無効電力を調整して電圧を一定に保つ役割があります。