原子力技術研究所 放射線安全研究センター

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環境省 「放射性物質汚染対処特措法に基づく基本方針骨子案」等に対する当センターからの提出意見(2 件)

【意見その1】

意見の対象

[1] 放射性物質汚染対処特措法に基づく基本方針骨子案

意見の該当箇所

3 ページ・37 行目〜4 ページ・9 行目

意見の要約

事故の影響により環境の放射線量が年間1 ミリシーベルトを超えている地域においては、廃棄物の処理等に伴い周辺住民が追加的に受ける線量の目標値を、一律に年間1 ミリシーベルトとするのではなく、除染計画とその進行に応じて現実的にバランスのとれた値を段階的に選定できるようにすべきである。

意見及び理由

元々の自然界の放射線による線量と同程度(文部科学省「学校において受ける線量の計算方法について」(平成23 年8 月26 日)によれば、宇宙線と大地放射線の合計で年間で約0.7 ミリシーベルト)にある地域では、処理等に伴い周辺住民が追加的に受ける線量を年間1 ミリシーベルトを超えないようにすることは適切であるが、事故の影響により環境の放射線量が年間1 ミリシーベルトを超えている地域に同じ基準を適用すると、技術的に過度な対策が必要となるか、あるいは現実的な対策が立てられず、処理等の遂行を妨げることになる。結果として、環境の汚染が人の健康又は生活環境に及ぼす影響を速やかに低減することが困難となる。
「4. 土壌等の除染等の措置に関する基本的事項」の「(1)基本的な考え方」に「○国際放射線防護委員会(ICRP)の2007 年基本勧告、原子力安全委員会の「今後の避難解除、復興に向けた放射線防護に関する基本的な考え方について」(平成23 年7 月19 日原子力安全委員会)等を踏まえて、目標値を設定すること。」とある。これによれば、最適化の考え方(正当化された行為であってもその被ばくは経済的および社会的要因を考慮に入れながら、合理的に達成できる限り低く保たれなければならない)に基づく対策を遂行することが適切である。これは、線量低減は、廃棄物の処理等により追加される線量と除染によって低減される線量を併せた全体の計画として考える必要があることを意味する。また、関係行政機関における放射線障害の防止に関する技術的基準の斉一化を図る放射線審議会の基本部会の議論において、現存被ばく状況における公衆の放射線防護は、年間1〜20 ミリシーベルトの参考レベルを段階的に適用して線量を引き下げることが適切である、との考えが示されている(平成23 年10 月6 日 基本部会(第41 回)、資料第41-2 号)。以上から、現実的に実施可能な線量低減の方策は、除染の効果に加えて、放射能の減衰の効果も考慮に入れ、段階的に目標値を設定して進めていくことが適切である。すなわち、状況に応じてバランスのとれた基準の選定を可能とするように基本的考え方を示すべきである。

【2011年10月26日提出 (財)電力中央研究所 放射線安全研究センター】


【意見その2】

意見の対象

[1] 放射性物質汚染対処特措法に基づく基本方針骨子案

意見の該当箇所

7 ページ・30 行目〜7 ページ・32 行目

意見の要約

除去土壌の処理等に伴い周辺住民が追加的に受ける線量の制限値は、一律に年間1 ミリシーベルトとするのではなく、除染計画とその進行の程度に応じて現実的にバランスのとれた値を段階的に選定できるようにすべきである。

意見及び理由

事故の影響により環境の放射線量が年間1 ミリシーベルトを超えている地域における除去土壌の処理等に伴い周辺住民が追加的に受ける線量の制限値に「年間1 ミリシーベルト」を適用すると、除去土壌の処理等に過度な対策が必要となるか、あるいは現実的な対策が立てられず、処理等の遂行を妨げることになる。結果として、土壌の除染の進行が困難となる。
「4. 土壌等の除染等の措置に関する基本的事項」の「(1)基本的な考え方」に「○国際放射線防護委員会(ICRP)の2007 年基本勧告、原子力安全委員会の「今後の避難解除、復興に向けた放射線防護に関する基本的な考え方について」(平成23 年7 月19 日原子力安全委員会)等を踏まえて、目標値を設定すること。」とある。これによれば、最適化の考え方(正当化された行為であってもその被ばくは経済的および社会的要因を考慮に入れながら、合理的に達成できる限り低く保たれなければならない)に基づく対策を遂行することが適切である。これは、線量低減は、除去土壌の処理等により追加される線量と除染によって低減される線量を併せた全体の計画として考える必要があることを意味する。また、関係行政機関における放射線障害の防止に関する技術的基準の斉一化を図る放射線審議会の基本部会の議論において、現存被ばく状況における公衆の放射線防護は、年間1〜20 ミリシーベルトの参考レベルを段階的に適用して線量を引き下げることが適切である、との考えが示されている(平成23 年10 月6 日 基本部会(第41 回)、資料第41-2 号)。以上から、現実的に実施可能な線量低減の方策は、除染の効果に加えて、放射能の減衰の効果も考慮に入れ、段階的に目標値を設定して進めていくことが適切である。すなわち、状況に応じてバランスのとれた基準の選定を可能とするように基本的考え方を示すべきである。

【2011年10月26日提出 (財)電力中央研究所 放射線安全研究センター】

以上

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