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センター所長挨拶
センター所長:ジョージ・アポストラキス 博士
( Dr. George Apostolakis )
原子力リスク研究センター所長に選ばれたことを、光栄に感じるとともに謙虚に受け止めています。この研究センターは、日本の原子力産業界が継続的に原子力施設のリスクを評価し管理していくことを支援していきます。私は、この研究センターを立ち上げ、国際的に認められたセンターオブエクセレンスとしていくうえで私と私の同僚が直面するチャレンジを非常にやりがいがあるものと受け止めています。
これまで、原子力発電所をはじめとする原子力施設の安全性は、少数の定型化された設計基準事故(DBAs)を設定し、もし設計基準事故が発生したとしても公衆の健康と安全には害が無いように設計し運用するよう要求することで、原子力発電所をはじめとする原子力施設の安全性が確保できるものとされてきました。
しかし、これまでの伝統的な安全に対する考え方とは対照的に、確率論的リスク評価(PRA)は原子力施設を一つの統合されたシステムとして評価し、「どんな事象が起こり得るか」、「それはどの程度の頻度で起こるのか」、「それはどのような結果をもたらすか」という3つの基本的な問いかけを行います。それらの問いかけに答えることによって、設備の故障やヒューマンエラー、地震や洪水といった自然現象も含めた数千もの現実に起こり得る事故シナリオについて、その発生確率と事故の影響を想定することができます。
PRAの結果は、リスクマネジメントにとって基本的なインプットになります。これにより、実際の事故による負の影響を、まずは起こり得ないと言ってよいレベルまで低減させるという活動を進める際に、資源の投入を最適化することができます。
工学的手法と、悪条件における設備や人の振る舞いに関するモデル、これらの両方を開発し活用していくことが、このアプローチにおいて必要となることは明らかです。原子力施設において高いレベルの安全性を実現するため、これらの手法を原子力事業者及び原子力産業界に提供することが、NRRCのミッションとなります。
NRRCは公開性と透明性を確保した運営をしていきます。得られた成果や活動内容をあらゆる関係者に発信することで、技術的専門分野の関係者、および社会全般の両方から信頼を得られるよう尽力致します。
私は、PRAとリスクマネジメントの両方の分野に長年携わってきました。カリフォルニア大学ロサンゼルス校にて20年、原子力科学工学科の教授として務め、その後はマサチューセッツ工科大学の教授として15年務めました。2010年にはオバマ大統領の指名を受け、米国議会の上院の承認を経て米国原子力規制委員会のメンバーとなりました。このように、これまで私が技術的分野や規制分野で培ってきた経験は、私がNRRCのセンター所長としてリーダーシップを発揮するうえで役立つものだと確信しています。
1946年4月7日生 | |
1969年 | アテネ国立技術大学 電気工学専攻 |
1970年 | カリフォルニア工科大学 M.S.(工学) |
1973年 | カリフォルニア工科大学 Ph.D.(工学・応用数学) |
1974-1995年 | カリフォルニア大学 ロサンゼルス校 教授 |
1995-2010年 | マサチューセッツ工科大学 教授 |
1995-2010年 | 米国原子力規制委員会 原子炉安全諮問委員会委員(2001-2002 議長) |
2007年 | 全米技術アカデミー選出 |
2010-2014年 | 米国原子力規制委員会委員 |
2010年-現在 | マサチューセッツ工科大学 名誉教授 |
2014年-現在 | 電力中央研究所原子力リスク研究センター(NRRC)所長 |
2015年 | Henry DeWolf Smyth Nuclear Statesman賞受賞(米国原子力学会および原子力エネルギー協会) |
2015年 | 国際原子力エネルギーアカデミー委員 |
2018年-2021年 | 全米技術アカデミー、原子力および放射線研究委員会、議長 |
2018年-現在 | 原子力リスクマネジメントに関するASME/ANS 合同委員会(JCNRM)委員 |
※参考
- 国際ジャーナル「Reliability Engineering and System Safety」(信頼性工学とシステム安全)編集長(1986-2010)
- 確率論的安全評価と管理に関する国際会議(PSAM)を1991年に設立
- 2014年2月 「確率論的リスク評価日米ラウンドテーブル」出席
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