当研究所は、公益財団法人若狭湾エネルギー研究センター、大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構、国立大学法人福井大学と共同で、最小5マイクロメートル(0.005ミリメートル)角から自由にビームのサイズを変えることのできる放射光X線マイクロビーム細胞照射技術を駆使した研究を進め、低線量の放射線にさらされたヒトやハムスターの細胞では、細胞核だけではなく細胞質にも放射線があたっていないとDNAに生じた放射線による損傷を直す仕組みが十分に働かないことを解明しました。
本プレスリリースのポイントは以下のとおりです。
- 放射光X線マイクロビームによって細胞全体、細胞核、細胞質を照射する細胞局所照射技術を駆使
- 細胞中の放射線にあたった領域(核や細胞質)に応じて細胞の運命(生死)が大きく変化
- 被ばく線量が少ない細胞では、細胞質に放射線があたっていないと細胞死が増大し、あたっていると生き残る細胞が増加する
- この生死の競合メカニズムはDNA修復に関係するたんぱく質ATMにより制御されている
本研究成果に関する論文が英国科学雑誌「Scientific Reports」に2021年7月5日付で掲載されました。
論文名:Exposure of the cytoplasm to low-dose X-rays modifies ataxia telangiectasia
mutated-mediated DNA damage responses
詳細な情報は 添付資料 をご参照下さい。
以 上