2020年9月18日 |
1.石炭火力検討ワーキンググループの設置
本誌読者も既にご存じと思料するが、2020年8月に題記のワーキンググループ(以下、石炭火力検討WG)が設置され、本稿執筆時点(9/10)までに2回の会合(注1)が開催された。石炭火力検討WGは、第1回会合配布資料3 1)にあるように、2018年7月に閣議決定された現行のエネルギー基本計画において明記された「非効率石炭火力のフェードアウトを着実に進め」ることを目的とし、「より実効性のある規制的措置の導入に向けた検討を行うため、総合資源エネルギー調査会 電力・ガス事業分科会 電力・ガス基本政策小委員会及び省エネルギー・新エネルギー分科会 省エネルギー小委員会の下に」設置された。筆者は、本誌にも紹介2)、3)した「火力発電に係る判断基準ワーキンググループ(以下、火力判断基準WG)」の委員を務めた関係で、石炭火力検討WGにも委員として招聘された。
第2回までの議論については、公表されている資料及び今後公表される議事録を参照戴きたいが、当面の論点の確認と、各委員の問題意識の提示が行われた。
2.石炭火力検討WGの論点
第1回会合配布資料5 4)に、現状認識や主要論点がまとめられている。同資料p.4にあるように、「非効率石炭火力のフェードアウト」については、本WGで「規制的措置」を、電力・ガス基本政策小委制度検討作業部会で「安定供給の確保・早期フェードアウト誘導(誘導措置)」を、再エネ大量導入・NW小委で「基幹送電線の利用ルールの抜本見直し」を、各々議論することとされた。
筆者は第1回会合で発言したが、エネルギー政策は全体最適の観点から広い視野で議論されるべきであり、このように論点ごとに切り分けて議論することが果たして適切か、疑問の余地なしとしない。しかしながら、石炭火力検討WGは発足時点で既に(省エネ法を根拠法とする現行の規制的措置に立脚した)追加的な規制的措置を議論することとの規定がなされていた。
3.参画にあたっての基本認識
筆者は前述のとおり、火力判断基準WGにて議論を重ねた現行の規制的措置の策定に係わったことから、石炭火力検討WGへの参画にあたって以下のような基本認識をもって臨むこととした。
石炭火力検討WGは、今後も会合を重ねつつ、「非効率石炭火力の定義」や、「規制的措置の目標設定」などについて議論を深めていく。上記の基本認識、とくに政策の予見可能性に留意しつつ、進むべき道を誤らぬよう、引き続き微力ながら参画していきたい。
参考文献
エネルギー・資源学会誌「エネルギー・資源」Vol.41, No.6, p.72-73 (2020) に掲載