著者:荻野晴之、服部隆利(電力中央研究所原子力技術研究所放射線安全研究センター)
学術誌:保健物理, Vol. 49, No. 4, 2014 (in press), 受理日:2014年10月24日
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本研究では、2010年の人口動態調査と国勢調査から得られた日本人の年間死因別死亡数と人口数を用いて、5歳階級別の生命表を作成し、日本人の生涯がん死亡リスクを都道府県別に計算した。図1に結果を示す。性で平均した日本人生涯がん死亡リスクは47都道府県で23.7%から28.3%の間にあり、算術平均値は25.4%であった。国際放射線防護委員会の勧告では、原爆被爆者の寿命調査などの疫学研究を根拠に、実効線量100 mSvの被ばくで生涯がん死亡リスクが0.5%増加すると仮定されている。被ばくによる生涯がん死亡リスクの増加分は、本研究によって明らかとなった生涯がん死亡リスクがバックグラウンドとして存在する中で、それに上乗せされることになる。
図1. 2010年の死亡数・人口数データを用いた日本人の生涯がん死亡リスク