一般財団法人 電力中央研究所

プレスリリース

電力中央研究所 2014年度事業計画・収支予算について

2014年3月14日
一般財団法人 電力中央研究所
 一般財団法人電力中央研究所(理事長:各務正博、本部:東京都千代田区)は、今般2014年度事業計画書・収支予算書を取り纏め、3月14日開催の評議員会で承認されました。

 電気事業は、原子力発電所の再稼働が未だ不透明な中、その経営環境は厳しい状況が継続しています。また、引き続き電力の安定かつ安価な供給が求められる中、電力システム改革やエネルギー基本計画の見直し、電力設備の高経年化や再生可能エネルギーの導入拡大等への対応を迫られています。

 当所は、電気事業のこのような状況を踏まえ、以下に重点を置いて、2014年度の事業に取り組みます。

電気事業の共同研究機関としての使命の遂行
予算を厳しく抑制する下で、業務合理化・経費節減を徹底するとともに、優先度の高い事業へ経営資源を重点的に投入
研究推進にあたり、人材・知見・研究設備・外部ネットワーク等の「知のプール」※1を駆使し、電気事業の抱える喫緊および中長期の重要な課題に的確な解決策を提供
電気事業者とのコミュニケーションをより一層強化し、先見力、洞察力、吟味力等を以て課題解決に寄与すべく、「事業ポートフォリオ(研究の品揃え)」を充実
将来に向けた事業基盤の整備と研究戦略の構築
研究力の維持・発展に不可欠な人材の育成・確保と研究設備の形成・更新を図るとともに、その基盤となる研究拠点整備を推進
電気事業の部門ごとに、電力システム改革等の社会情勢変化の影響が異なることを念頭におきつつ、将来の電力安定供給に不可欠な技術やリスク増大に備えた多様な選択肢を先見的に見出して研究戦略を構築

 以上により、2014年度も、高度かつ多様な専門性を持つ研究者と研究設備を擁するインハウス研究※2機関として、電気事業の技術基盤を支え、その課題解決に貢献していきます。

※1「知のプール」
 電気事業を支える電力技術や社会経済分野の知見・人材・研究設備等の長年の蓄積や、国内外にわたる広範な人的ネットワークなど。
※2「インハウス研究」
 枢要な部分を外部委託に依存せず、研究者が自前の研究設備等を以て自ら研究に取り組むこと。長年の知見の蓄積(知のプール)を形成することで、基盤的、長期的、総合的な取組みが可能になる。

<以降には、2014年度事業計画書・収支予算書の主要点を記しております>

<研究計画>(本冊P.5〜12)
 当所では、電気事業全体を俯瞰し解決すべき課題を明らかにした上で、当所が取り組むべきアクションを取りまとめた「事業ポートフォリオ」を作成しました。その上で、各アクションの優先度を明確化し、中長期的な研究の方向性を示す3つの「研究の柱」※3の下、特に以下に重点的に取り組みます。

※33つの「研究の柱」
(1) 「リスクの最適マネジメントの確立」:電力の安定供給に関わるリスクの低減および管理に貢献
(2) 「設備運用・保全技術の高度化」:電力の安定供給に関わる運用・保全技術の高度化に貢献
(3) 「次世代電力需給基盤の構築」:電力供給および電力利用における一層の高効率化、エネルギーセキュリティの確保、ならびに省エネルギー・低炭素化の実現に寄与

取り組みを強化する研究
原子力発電
・新規制基準適合審査における諸課題(破砕帯評価、活断層連動性評価、竜巻対策等)への対応
参照先→ P6
P11
(1)リスクの最適マネジメントの確立:「軽水炉安全性高度化」
基盤技術課題:「原子力発電」
・今後の規制・制度変更に伴う課題(原子力事業経営リスク等)の分析と対応支援
参照先→ P7
P11
(1)リスクの最適マネジメントの確立:「エネルギー・環境制度の評価・分析」
基盤技術課題:「原子力発電」
・自然外部事象(連動型地震、津波、火山噴火等)に対する安全性評価・向上
参照先→ P6
P11
(1)リスクの最適マネジメントの確立:「軽水炉安全性高度化」
基盤技術課題:「原子力発電」
火力発電
・石炭灰の環境安全性評価法の開発など利用拡大支援
参照先→ P8 (2)設備運用・保全技術の高度化:「発電施設の建設・運用・保全支援」
・微粉炭火力の燃料種拡大に向けた未利用炭・低品位炭燃焼技術開発
参照先→ P9 (3)次世代電力需給基盤の構築:「火力発電技術の高度化」
電力流通
・電力流通設備の高経年化対策や風雪害等の自然災害リスク対策
参照先→ P7
P9
P12
(1)リスクの最適マネジメントの確立:「電力流通設備の自然災害対策」
(2)設備運用・保全技術の高度化:「電力流通設備の運用・保全支援」
基盤技術課題:「電力流通」
・再生可能エネルギー導入拡大に対応した系統安定化
参照先→ P9 (3)次世代電力需給基盤の構築:「次世代グリッド技術の確立」
需要サイド
・デマンドレスポンスの活用など需要サイドの能動化に対応する取り組み
参照先→ P10
P10
P12
(3)次世代電力需給基盤の構築:「次世代グリッド技術の確立」
(3)次世代電力需給基盤の構築:「エネルギー高度利用技術の開発」
基盤技術課題:「販売」
減速・先送りする研究
原子力発電:60年超運転を目指した技術開発・将来技術
火力発電:非在来型液体燃料の適用性
電力流通:全固体変圧器、超電導電力機器、SiCパワー半導体素子など次世代電力流通設備の要素技術開発等

<研究推進(環境整備)>(本冊P.13〜14)
 研究の推進にあたっては、以下に留意します。
電気事業者との重層的なコミュニケーションの強化
 電気事業者各層とのコミュニケーションのさらなる強化による、「事業ポートフォリオ」の充実
 電力システム改革等の社会情勢変化による影響が電気事業の部門毎に異なることを念頭に
   おいた研究戦略の明確化
研究体質のさらなる強靭化の推進
 予算を厳しく抑制する中でも質の高い成果を創出し続けるため、実施項目の厳選、実験ケースの
   絞り込みなどの徹底による経費支出の削減
 アウトカムの経済価値を算定する「研究価値評価」や外部有識者等による「研究評価」の実施
研究力・課題解決力の維持・強化
 大型研究設備・基盤研究設備の着実な導入・更新
<導入予定の主要大型研究設備(例)>
「軽水炉燃料冷却限界実験設備」: 軽水炉安全高度化研究に活用
「遠心振動台の増設」: 斜面崩壊を評価できる新しい耐震設計法の開発・検証に活用
「低圧配電系統需給協調実験設備」: PV/EV導入の進展に備え、低圧配電系統の電力品質・公衆安全性の維持に関する研究に活用
 若手研究者の国内外機関への長期派遣等による人材育成
 優れた知見を有する国内外の研究機関とのネットワークの構築・拡充
受託研究などの推進
 国等からの受託研究については、電気事業の将来課題の解決に先駆的に取り組む研究にも挑戦

<業務運営・要員>(本冊P.15〜17)
支出経費全般のより一層の抑制
・運営経費 固定資産税や物価上昇等による経費増加に対応した、支出経費全般の一層の抑制
・固定資産 維持費・固定資産税負担軽減のため、休止・不用資産の除却・廃棄の徹底
・人件費   給与の減額措置を、一層の削減を進めた2013年度と同水準で継続
          (役員報酬30%、幹部職・一般職員を10%削減)
研究拠点整備の着実な推進
・拠点整備 研究の2拠点化(横須賀地区の「エネルギー産業技術研究の拠点」化、我孫子地区の
          「自然・環境科学研究の拠点」化)整備の着実な推進
・事務管理機能 2015年度の我孫子地区への移転・再編に向けた具体的な制度設計と業務の
             合理化
・要員    800名程度の要員規模を目指した事務・管理部門の要員漸減と、研究の加速的推進を
          図るための新たな人材確保策の導入

<収支予算>(本冊P.19〜20)
一般正味財産増減の部
 ・ 経常増減の部
経常収益は、受取経常給付金235.65億円に事業収益などを合わせ、計262.45億円
経常費用は、事業費278.87億円、管理費18.13億円の計297億円
その結果、経常増減は△34.55億円
 ・ 経常外増減の部
経常外増減は、固定資産除却損の△2.39億円
上記により、一般正味財産増減は、△36.94億円
指定正味財産増減の部(使途に制約が課せられている財産)
指定正味財産増減は、受取補助金0.5億円、一般正味財産への振替額2.4億円により△1.9億円
正味財産期末残高
当期の正味財産増減は、一般正味財産増減と指定正味財産増減の計△38.84億円
正味財産期末残高は373.6億円

 詳細は添付の 2014年度事業計画書・収支予算書 をご参照下さい。



お問合せは、こちら からお願いいたします。

※ 本件は、エネルギー記者会で資料配布致しております。
Copyright (C) Central Research Institute of Electric Power Industry