財団法人 電力中央研究所

プレスリリース

2013・2014年度 日本経済と電力需要の短期予測(2013年12月)
− 次年度の販売電力量は4年ぶりに増加の見込み −

2013年12月17日
一般財団法人 電力中央研究所
 一般財団法人電力中央研究所(理事長:各務 正博、本部:東京都千代田区)は、世界経済の動向、原油価格などの情報に基づき、当研究所が独自に開発した「マクロ計量経済モデル※注」を用い、日本経済および販売電力量の短期予測(2013年6月予測の改訂)とシミュレーション分析を実施しました。
 当研究所では、電気事業に関連する広範な研究活動を通じた社会貢献の一つとして、わが国経済の短期予測に継続的に取り組んでおります。
 今回の予測結果とシミュレーション分析の概要は下記の通りです。

1. 日本経済の短期予測
●実質GDP:2012年度は前年度比0.7%増(実績)
 ⇒ 2013年度は、前年度比2.3%増(12年度に比べ、成長が加速
     <本年6月予測の前年度比2.6%増から下方修正
 ⇒ 2014年度は、同0.6%増(13年度に比べ、伸びが鈍化
     <本年6月予測の同0.5%増から上方修正

<2013年度>(寄与度:内需+2.1%ポイント、外需+0.1%ポイント)
民間消費、住宅投資、公共投資の増加
企業収益の改善を背景とする設備投資の増加内需主導の成長
円安と世界経済の回復に伴う輸出の増加
<2014年度>(寄与度:内需−0.2%ポイント、外需+0.7%ポイント)
設備投資は緩やかながら増加傾向を維持
公共投資の減少
消費増税駆け込み需要の反動減と実質所得の減少
→民間消費と住宅投資が急減速
内需減少で伸びが鈍化
世界経済の拡大持続と緩やかな円安進行による外需増加

2. 電力需要の短期予測
上記の日本経済の標準予測と2012年度並みの気温の下、販売電力量(10社計)は、
⇒ 2013年度は前年度比0.1%減3年連続減となるが、減少幅は縮小
  電灯需要:同0.6%減(経済要因はプラスも、価格要因がマイナス)
  電力需要:同0.2%増(生産活動の持ち直し)          

⇒ 2014年度は前年度比0.3%増4年ぶり増
  電灯需要:同0.7%減(内需の鈍化)
  電力需要:同0.8%増(外需の回復持続による生産の底堅い推移)

 <2014年度販売電力量の気温感応度>
 猛暑・厳冬の場合(夏季=2010年度並み、冬季=2011年度並みの冷暖房度日とした場合)
  ⇒ 販売電力量は、標準予測の前年度比0.3%増が 前年度比1.0%増 に増加率拡大
 冷夏・暖冬の場合(夏季=2009年度並み、冬季=2006年度並みの冷暖房度日とした場合)
  ⇒ 販売電力量は、標準予測の前年度比0.3%増が 前年度比2.1%減 まで低下


3. 日本経済のシミュレーション分析
「消費税率引き上げに対応した経済対策の効果」(2014年度の実質GDPを0.6%押し上げ)
経済対策の柱: (1)公共投資の拡大(3.2兆円)… +0.4%
(2)復興特別法人税の前倒し廃止など企業向け支援策(3.0兆円)… +0.1%
(3)現金給付など家計向け支援策(0.9兆円)… +0.1%
→ 対策の規模が大きい「公共投資」によるプラス効果が最も大きい
<前述の標準予測では、消費税率引き上げと合わせて、これらの対策が全て実施されることが前提>

 経済対策が実施されない場合
  ⇒ 2014年度の実質GDP成長率は、標準予測の前年度比0.6%増が ゼロ近傍

 その他
  ⇒ 今回の経済対策のプラス効果(実質GDPを計0.6%増加)により、
    消費税率引き上げによる経済へのマイナス影響(実質GDPを0.6%減少)は、ほぼ相殺

    ただし、消費増税は民間消費を大幅に減少させ、マイナス影響は家計に集中、
         一方、経済対策による家計へのプラス効果は小さい)
  ⇒ 政策効果がマクロ経済全体に行き渡るかどうかは、企業部門への恩恵が雇用者所得の
    改善を通じて、順次、家計部門へ波及するかに依存



<上記予測と分析の詳細につきましては、添付資料 をご参照下さい。>

以上

※注 当研究所の「マクロ計量経済モデル」について

 当研究所では1960年代初めに独自のマクロ計量経済モデルを開発し、経済予測やエネルギー需給展望への活用のため、モデル改良・更新を継続的に実施しております。「電中研短期マクロ計量経済モデル(短期モデル)」では、経済成長率や失業率などの経済予測だけでなく、経済動向と整合的な電力需要予測を同時に行うことができます。また、財政・金融政策を変更した場合や経済の諸条件が変化した場合の影響を評価することもできます。短期モデルの構造を解説した報告書として、「電中研短期マクロ計量経済モデル 2012−財政乗数の変化と震災後の節電量の推定−(Y12032)」が当所HPより入手できますので、ご参照下さい。

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