財団法人 電力中央研究所

プレスリリース

電力中央研究所 2013年度事業計画・収支予算について

2013年3月15日
一般財団法人 電力中央研究所
 一般財団法人電力中央研究所(理事長:各務正博、本部:東京都千代田区)は、今般2013年度事業計画書・収支予算書を取り纏め、3月15日開催の評議員会で同事業計画書・収支予算書は承認されました。

 電気事業の経営環境は、原子力発電所の再稼働が未だ見通せない中、極めて厳しい状況が継続しています。
 また、電力システム改革の方向性は示されたものの、今後の電力供給システムをどのように形成していくか、またそれを支える技術基盤をどのように維持・発展させていくか、具体的な姿を明確に描くには至っていません。

 このような状況を踏まえ、電気事業の中央研究機関である当所は、喫緊の課題解決に貢献するとともに、将来の事業基盤の形成に電力技術の側面から寄与するため、次の三点に重点的に取組んできました。

研究戦略の再構築と研究計画のブラシュアップ(再精査)*注
電気事業が必要とする研究開発課題を抽出し、当所が果たすべき役割や優先順位を明確化、電気事業のニーズの視点から研究計画を精査し、課題ラインアップとして積み上げ
電気事業とのコミュニケーションの強化
各層・各分野とのコミュニケーションを一層強化して電気事業のニーズを把握し、重点的に取組む課題、減速・先送り・中止する課題を明確化
研究体質のさらなる強靭化
研究費抑制の中でも質の高い成果を提供するため、研究推進上の工夫を徹底、事業活動全般にわたる経費を極限まで圧縮

 2013年度事業計画・収支予算は、これらの活動の成果を最大限に反映して策定致しました。

 当所は多岐にわたる知見・人材・設備や内外の広範な人的ネットワークを蓄積した「知のプール」として、技術に立脚した産業である電気事業を支えることを使命に、今後も電気事業や社会の期待に応える実効性の高い研究成果を着実に創出していきます。

*注「ブラシュアップ(再精査)」
 当所では、電気事業全体を俯瞰し、電力サプライチェーンに応じた取り組むべき課題の全体像を明らかにした上で、その中での当所の役割や今後の研究活動の具体的な進め方等について、改めて検討を進めてまいりました。

<以降には、2013年度事業計画書・収支予算書の主要点を記しております>

<研究計画>(本冊P.4〜9)
 研究戦略の再構築と研究計画のブラシュアップ(再精査)を踏まえ、以下の通り研究を推進します。
【研究の重点化】
◆2012年度に引き続き、研究の中長期的な方向性を示す以下の「研究の柱」の下で推進
リスクの最適マネジメントの確立(大幅に強化)
軽水炉安全性高度化、流通設備の自然災害対策、電力システム改革の分析評価等に重点的に取組み大幅に強化
設備運用・保全技術の高度化 (継続推進)
軽水炉の安定運用支援、発電設備・電力流通設備の運用保全技術の開発に引き続き重点的に取組む
次世代電力需給基盤の構築(一部を大幅減速)
火力発電技術の高度化、再生可能エネルギー導入への系統セキュリティ対応を強化する一方、電化推進、次世代機器開発・材料開発等は大幅に減速
       
強化する課題(リスク対応、安定供給)
「軽水炉安全性高度化・保全支援」
 自然外部事象のハザード(危険性)評価、機器フラジリティ(脆弱性)評価
「流通設備の維持管理・自然災害リスク対応」
 経年鉄塔の健全性評価技術、風雪害対策技術
「石炭火力の燃料種拡大」、「既設火力発電の徹底活用」
 未利用炭の燃焼法開発、高経年火力の信頼性確保
「電力品質の維持」、「再生可能エネルギー導入拡大対応」
 太陽光発電(PV)大量導入時の系統安定度などセキュリティの評価

<研究推進(環境整備)>(本冊P.10〜11)
 研究の推進にあたっては、以下に留意します。
ブラシュアップ(再精査)の継続による研究計画の充実
 電気事業のニーズに基づいた研究課題の選択と集中、新規課題の創出による研究計画の充実
 各種会議体や専門分野別委員会等での緊密なコミュニケーションや、
   研究の評価とニーズの確認に基づく研究計画策定・研究推進
電気事業の要請に対する迅速かつ的確なソリューションの提供
 保有する基盤技術に関する情報を利用しやすい形で提供
研究体質のさらなる強靭化による質の高い成果の創出
 取組む課題の厳選、実験ケースの絞り込みやシミュレーション技術の広範な活用、
   研究価値評価や研究評価の実施
将来にわたる研究力・課題解決力の強化
 電気事業の課題解決に必須となる研究拠点の整備や、大型研究設備の着実な導入
 多岐にわたる知見、人材、高度な研究設備、内外機関とのネットワークから成る
   「知のプール」機能の維持・向上

<業務運営・要員>(本冊P.12〜14)
運営経費 業務運営にかかる経費等を2012年度比10%削減
人件費 役員25%・幹部職最大10%削減、収支状況により一般職員10%削減
固定資産 固定資産税・維持費負担軽減のため休止設備・不要資産の除却・売却推進
用地売却 研究拠点整備資金捻出のため狛江地区用地一部売却準備
要員 800名程度での均衡を目指し事務系要員漸減、人材確保多様化等の検討
成果表出 科学的客観性に裏付けされた研究成果等の効果的な発信

<収支予算>(本冊P.17〜18)
一般正味財産増減の部
 ・ 経常増減の部
経常収益は、受取給付金263億円に事業収益などを合わせた計286億円の見込み
経常費用は、事業費271.2億円、管理費20億円の計291.2億円、その結果、経常増減は△5.1億円の見込み
 ・ 経常外増減の部
経常外増減は、設備等除却損の△2.3億円
上記により、一般正味財産増減は、△7.5億円の見込み
指定正味財産増減の部(使途に制約が課せられている財産)
指定正味財産増減は、受取補助金0.9億円、一般正味財産への振替額2.9億円により△2.0億円の見込み
正味財産期末残高
当期の正味財産増減は、一般正味財産増減と指定正味財産増減の計△9.5億円の見込み正味財産期末残高は356.4億円の見込み

 詳細は添付の 2013年度事業計画書・収支予算書 をご参照下さい。



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