水力・原子力発電所などの立地・建設において、当所では電力各社に協力して、活断層調査を行ってきました。また、発電所の耐震性に影響を与える可能性のある活断層を認定して、その活動時期や活動度、周期を求める断層活動性評価の研究に取り組んできました。
当所では、過去50年以上にわたり活断層の調査研究を進めてきました。特に、大規模活断層の活動性解明においては、各地でトレンチ調査や変位計測を行うとともに、独自に断層構造や地盤組成などに関する検討を進め、断層内物質に含まれる鉱物を利用する複数の地層年代測定手法を開発しました。さらに、これらの研究手法を高精度化し、地下の断層位置を詳細に調査する方法や、断層の活動性を評価する方法を確立しました。これら成果はいずれも汎用的なものであり、現在国内で幅広く活用されています。
現在当所では、電力各社が行っている原子力発電所敷地内の断層・破砕帯などの調査に協力しています。具体的には、現場のボーリングコア(採取された円筒形試料)などを、所内にあるヘリカルX線CTスキャナやX線回折装置などの分析機器を用いて、断層・破砕帯等の内部構造、構成鉱物、断層の変位様式、活動性などの解明に取り組んでいます。また、破砕帯ができた原因やそのメカニズムを調べる断層模型実験なども実施しています。