電力中央研究所 報告書(電力中央研究所報告)
報告書データベース 詳細情報
報告書番号
Y13010
タイトル(和文)
家庭における2013年夏の節電の実態
タイトル(英文)
Ex-post analysis of electricity saving measures in the residential sector in the summer of 2013
概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)
東日本大震災後、特に夏場において電力が不足しがちな状況が続いてきた。2011年夏は東京・東北電力管内で15%、関西電力管内でも10%の数値目標が設定された。2012年夏は、東電管内の数値目標は無かったが、関電管内の10%目標(当初15%)を始め、全国的に節電が要請された。2013年夏は、数値目標のない一般的な節電要請にとどめられた。全体の効果や継続意向は政府報告書等でも分析されているが、部門別に見た節電実態の詳細や経年変化については、十分には明らかにされていない。そこで、本研究では、東電および関電管内の家庭における2013年夏の節電実態を把握し、2011・2012年夏との比較を通じて節電の継続状況を明らかにする。具体的には、前年実施の調査 に協力いただいた東電・関電利用世帯への追跡調査として、アンケート(Web回答方式;有効回答1,513名;2013年11月実施)、および、インタビュー(20名;同月)を実施し、以下の点を明らかにした。
(1)気温影響控除後の2013年7~9月分の電気使用量(kWh)は、調査対象の東電・関電利用世帯で、2010年水準より共に平均10%低かった。
(2)各種用途の節電意識や節電対策の実施率は、2013年にかけて低下した。それらの地域差は小さくなっている。後退が顕著だった例はエアコン利用時間減で、東電利用世帯では、その実施率や減少時間が2011年の半分程度となっていた。一方で、冷蔵庫の設定温度緩和や壁から離すといった対策のように、一旦実施した後は、特に意識せずとも効果が継続しやすいものもある。
(3)節電の動機や取り組みレベルは、両地域とも前年水準を下回るものが多い。特に、電力不足解消に貢献したいといった規範的動機の弱まりが見られる。一方で、電気料金値上げの動きも受けて経済的動機は強化された。
(4)パネルデータ分析により、節電効果の内訳を考察した。エアコン・冷蔵庫・テレビ・照明の購入や交換がもたらす使用量減は、2011年夏の1%程度から2013年には3%弱にまで積み重なっているものと推定された。同程度の需要抑制が維持されているものの、これら高効率化効果の蓄積も含まれるため、節電の定着という点では、利用行動関連の効果が減少傾向にあることに注視が必要である。
概要 (英文)
Due to the Great East Japan Earthquake and the consequent reduction in the operating rate of nuclear power plants, there have been continued shortages of electric power, particularly in the summer months. In the summer of 2011, electricity saving with a target of 15% was carried out in the service areas of Tokyo Electric Power Company (EPCo) and Tohoku EPCo. In the summer of 2012, efforts were made to save the electricity throughout Japan, particularly with a 10% target in the Kansai EPCo's service area. In the summer of 2013, there were no numerical targets, while voluntary actions were recommended. This study aims to examine changes from 2011 to 2013 in terms of the electricity conservation rate, implementation rates of measures to save electricity, and awareness of electricity conservation. We conduct a follow-up questionnaire survey of about 1500 households in Tokyo and Kansai area who participated in our previous surveys, and group interviews of 20 people. Eliminating the effects of weather, the electricity consumption during July-September 2013 was lower by an average of 10% than the 2010 level in each region. The implementation rate was lower than the level of the previous years. Normative motivation and informational motivation became weaker, while economic motivation was stronger partly stimulated by the electricity rate increases. The reduction by behavior changes became fairly small, whereas there was a continuing effect of switching to energy-efficient products, approximately 1% per year, 3% in 2013, and thus it is estimated that the same level of reduction continued.
報告書年度
2013
発行年月
2014/04
報告者
担当 | 氏名 | 所属 |
---|---|---|
主 |
西尾 健一郎 |
社会経済研究所 エネルギー技術評価領域 |
共 |
大藤 建太 |
公立大学法人 会津大学 コンピュータ産業学講座 |
キーワード
和文 | 英文 |
---|---|
節電 | Electricity Saving |
省エネルギー | Energy Efficiency |
家庭部門 | Residential Sector |
電力需要 | Electricity Demand |
アンケート調査 | Questionnaire Survey |