電力中央研究所

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電力中央研究所 報告書(電力中央研究所報告)

報告書データベース 詳細情報


報告書番号

Y08043

タイトル(和文)

欧州送電事業者における設備投資計画策定業務の現状調査

タイトル(英文)

A Survey on Strategic Investment Planning Routines in Power Transmission Companies in Europe

概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)

近年,競争環境の中の電気事業者の投資戦略の一つとして,流通設備寿命を最大限に活かしながら,供給信頼度を充足しつつ予算の効率的活用を実現する,いわゆるアセットマネジメントの研究が多方面で進められている。しかしながら,これらアセットマネジメントの現実業務への適用に向けては,様々な課題が残されている。こうした中,自由化で先行する欧米における実務への導入状況,また,導入した事業者における課題や工夫に関して,現状を調査した例はあまり多くない。

そこで本調査報告では,欧米送電事業者の実務における送変電設備の投資計画策定業務の現状に関して,いくつかの事業者に対して現地ヒアリングを行い,その導入状況を明らかにする。また,実際に投資計画策定支援システムを導入してきた事業者においては,これまで実務への適用のためにどのような工夫を行ってきたかについて紹介する。

調査の結果,次のことが明らかになった。
(1) ヒアリング調査を行った欧州送電事業者のうち,特にAMを積極的に実務導入している2事業者においては,試行錯誤の上,4~5年前から実務への適用フェーズに移行している。具体的には,①機器のグルーピングとデータベース構築,②リスク量の付与,③工事シナリオの生成と人間系の処理,④個別工事の優先順位付け,といった手順がとられている。
(2) 上記のようなAMの実践に際しては,ある程度の「わりきり」が必要と考えられるが,訪問先の事業者においても,多くの場面でこれを採用している。機器のグルーピングやデータベース構築において,思い切ったデータの集約化を図っても,リスク発生確率や重要度の定義において簡易的な定量化手法を用いても,最終的な④優先順位付けのためにはそれらで十分であり,逆に精緻に陥りすぎると,労多くして益少ないことがわかったという。このように,ある程度「わりきり」をすることでAMの効率的運用が図られている。
(3)基本的にはコンディションが悪く,電力系統内での重要度が高い設備から工事等の対策をとるという考え方がとられるが,保安面など他の要素も考え合わせると総合的判断が必要とされ,実施すべき工事件名を,最適化問題の解だけで決定することは困難である。このような総合的判断については,従来どおり人間が合議によって決定している。設備投資の効率化を組織的かつ円滑に行うという最終目的のために,専門家の熟練した判断や部門間コミュニケーションなどの「人間系」と,技術的な計算とが一体となってAMは成り立っている。

概要 (英文)

In recent years, there is a growing concerns regarding the investment planning and its optimization methodologies for transmission facilities in power systems. Among many technical proposals on the computation methods of investment optimization under system reliability and gross investment constraints, Asset Management (AM) technologies are being discussed. However, it has also been pointed out that when practical implementation is considered, such optimization calculations may face practical barriers such as database management of facilities, assignment of risk values, sharing of goals among the organization and so forth.
In this survey, we did interview surveys on the status-quo in transmission companies in Europe and US, as to the implementation of AM ideas, and their experiences regarding the challenges and solutions when implementing AM into the planning routines. Through the survey, we found out that although specific processes of decision making vary across companies we have interviewed, there are standardized steps that are followed commonly, namely (a) asset grouping and database generation, (b) risk value assignment to asset groups, (c) project scenario planning and (d) project prioritization. In addition, we found that indispensable in successful AM practices are streamlining each process by expert judgment, and human-based decision making at the last stage of optimization and frequent communication among the organization to share the goal of AM.

報告書年度

2008

発行年月

2009/06

報告者

担当氏名所属

大藤 建太

社会経済研究所 事業経営・電力政策領域

筒井 美樹

社会経済研究所 事業経営・電力政策領域

後藤 久典

社会経済研究所 事業経営・電力政策領域

キーワード

和文英文
欧州送電事業者 European Power Transmission Companies
インタビュー調査 Interview Survey
設備投資 Facility Investment
投資計画策定 Investment Planning
アセットマネジメント Asset Management
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