電力中央研究所

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電力中央研究所 報告書(電力中央研究所報告)

報告書データベース 詳細情報


報告書番号

Y06018

タイトル(和文)

21世紀日本のエネルギーシステムシナリオ~電化の進行と温暖化対策~

タイトル(英文)

Electrification and climate change mitigation - A Scenario analysis of Japanese energy system in the 21th century -

概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)

背景:政府長期エネルギー需給見通しにおいて2030年の需給のあり方が描かれるようになるなど、エネルギーの安定供給、温暖化防止などの環境保全、経済活動への寄与の3つの目標を満たす長期的なエネルギーシステムを実現する政策および企業活動のあり方が問われている。
目的:強い温暖化防止制約のもとでの21世紀の日本のエネルギー需給システムの発展の姿をシナリオ分析によって描き出す。
主な成果:シナリオ分析により、エネルギー需要部門の技術の急激な進歩が将来のエネルギー需給構造全体に大きな影響を与えることを記述し、以下の結論を得た。
(1)温暖化対策を前提としなくても、確実なトレンドとして、ITなどの技術進歩と高齢化などの社会的変化の影響により、民生部門を中心とした一層の電化の進展が予想される。このとき、民生部門における電力利用は、「動力他」需要に分類される、次々と開発される多様な機器によって拡大を続ける。
(2)以上のトレンドに強い温暖化制約が加わった場合、①全部門における電力へのエネルギー需給構造の一層のシフトと、②電力のCO2原単位削減、の2点を主な特徴とする世界像が、蓋然性の高いものとして描かれる(図A「標準シナリオ」)。
(3)「標準シナリオ」実現のための条件は、電気利用に関する技術開発・普及を促進しすることにある。重要な温暖化防止技術の開発のためには、世界でも例を見ない日本の製造業の集積が重要な役割を果たすだろう(図B)。技術開発・普及の遅れは、CO2の削減を妨げる(図A現状構造固定シナリオ)。
(4)他方で、天然ガスへの大規模なシフト(図B「ガス・シフトシナリオ」)では、短期的なCO2削減は実現しうるが、2つのリスクがある。それは、①小規模分散燃焼システムへのロック・インによって、長期的なCO2削減が阻害されること、②天然ガス価格上昇に対して脆弱なこと、である。
政策的含意:温暖化防止問題は長期的・世界的な問題であるため、世界でも稀な日本の製造業クラスターの能力を最大限発揮して電気利用技術革新を進めることは、重要な寄与となるだろう。

概要 (英文)

The policy and companies' vision on energy systems have come to be expected to satisfy the energy security, environmental conservation such as climate change mitigation, and economy in the long term. This report suggests the development of Japan's energy system in the 21th century under strong constraints of global warming by employing the scenario analysis.
The analysis leads us to describe the scenario that the rapid progress of end use technologies will have great impacts on the whole system of energy supply and demand, and to found the conclusion as follows: (1) The electrification in domestic and commercial sector will expand as the result of information technology progresses, continuous production of new electric appliances and the changes of social structure like shifting to aging society. The increasing of "et cetera" electricity demand will never be stopped. (2) Strong constraints of global warming will lead the energy system like above to shift further electrification over all the sector including such as the transportation sector, and lead to reduction of CO2 coefficient of electricity (the base, most probable scenario). (3) The base scenario needs encouragement of the technology development and diffusion of electric end use systems.
Manufacturing industries in Japan that are most agglomerated all over the world will contribute the development of technologies for climate change mitigation.

報告書年度

2006

発行年月

2007/04

報告者

担当氏名所属

杉山 大志

社会経済研究所 地域経済・エネルギー技術政策領域

今中 健雄

社会経済研究所 事業経営・電力政策領域

キーワード

和文英文
エネルギーシステム Energy system
シナリオ分析 Scenario analysis
地球温暖化 Global warming
電化 Electrification
技術政策 Technology policy
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