報告書番号

Y03026

タイトル（和文）

競争環境下における欧州エネルギー事業の経営戦略

タイトル（英文）

Management Strategies of European Energy Companies to Cope with Competition

概要 （図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております）

わが国における電力自由化の進展に伴い、電力会社は競争に対応する経営戦略の構築に迫られている。わが国に先行して電力自由化を行った欧米では、競争に勝ち抜くためのさまざまな経営戦略が試みられており、これらの先行事例を調査しその評価を行っておくことは、わが国電気事業の今後の経営戦略を考える上で有益である。そこで本稿では、欧州の代表的なエネルギー事業者6社を取り上げ、その経営戦略について調査を行った。その結果、以下の点が明らかになった。１．競争下におけるエネルギー事業者の経営戦略は、主に規模の経済性の発揮、範囲の経済性の発揮、経営・技術革新の3つの目的に集約することができる。これらの目的を実現するための戦略として、規模の経済性については、同業他社との合併、範囲の経済性については、多角化や垂直統合、経営・技術革新については、コスト削減や新技術の導入が挙げられる。２．各社の経営戦略の評価から、下記の点が指摘できる。①多角化を検討する際は、進出する事業分野、地域等について慎重に検討される必要がある。②どのような戦略的な枠組みにおいてもリスク・マネジメントは必須の要素である。③戦略は、各国における固有の規制枠組みの中で立案されなくてはならない。これらの調査から、最も成功しうる戦略はコアコンペテンスに焦点を当てた戦略であるといえる。規制環境、地域環境等を考慮し、自社のコアコンペテンスを的確に把握するとともに、それを効果的に発揮できる分野、地域を選択した上で、事業展開することが重要である。

概要 （英文）

This paper investigates experiences as well as corporate strategies in response to electricity reforms in Europe. We undertake this analysis using case studies to evaluate specific strategies followed by various energy firms. These case studies cover a range of strategic issues such as the development of multi-utilities, vertical integration, horizontal integration and trading.The following lessons which appear important can be induced from our analysis:1. Prudence is necessary about expansion strategies. Strategies of expanding into new and unrelated product ranges, specifically in the retail market have not been successful in Europe.2. Risk management is an essential component of any strategic framework.3. Strategies have to be tailored to the respective regulatory context.4. Relationships with utility customers may be expanded to include further services.5. Ultimately, whether a strategy is successful depends on whether the company makes use of its core competences.

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