電力中央研究所

報告書「電力中央研究所報告」は当研究所の研究成果を取りまとめた刊行物として、昭和28年より発行されております。 一部の報告書はPDF形式で全文をダウンロードすることができます。

※ PDFのファイルサイズが大きい場合には、ダウンロードに時間がかかる場合がございます。 ダウンロードは1回のクリックで開始しますので、ダウンロードが完了するまで、複数回のクリックはなさらないようご注意願います。

電力中央研究所 報告書(電力中央研究所報告)

報告書データベース 詳細情報


報告書番号

N19006

タイトル(和文)

数値気象モデルのウィンドファーム内風速算出への応用

タイトル(英文)

Application of the Numerical Weather Prediction Model to Estimate the Wind within the Wind Farm

概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)

背  景
再生可能エネルギーへの注目を背景に着床式・浮体式の洋上ウィンドファーム(WF)建設への関心が高まり、発電量評価手法の確立が進められている。着床式風車の場合、短い離岸距離のため、洋上とはいえ周辺陸域にある山の後流や、海面-陸面の温度差の影響を受けやすいことが推察される。そのため、地形や海陸面の影響を考慮した風車配置の最適化方法が求められる。その解決策として気象モデルの利用が考えられるが、風車周辺の風を地形や海陸面の影響を含めて予測するためには、風車が風に作用する抵抗を表現するサブモデルを導入するととともに、一般的な利用法よりも細かい解像度での計算が必要となる。

目  的
地形や海陸面の影響を考慮した風車発電量評価手法の基礎とするために、WFの風速評価に特化した気象モデルの利用技術を確立する。

主な成果
気流に作用する風車の抵抗要素に関するサブモデルを米国大気研究センター開発の気象モデルWeather Research and Forecast(WRF)に導入した。導入したサブモデルの精度検証を行うとともに、海陸域の表面温度差に起因する WF内の風速の変化傾向を把握した。
1. 導入したサブモデルの精度検証
複数の風車配置条件において計算を行った。先行研究との比較によりWF内の風速が正しく算出されること、また、風速が配置依存性を有することを確認した。
2. 海陸面の温度差が WF内風速に与える影響の把握
陸上の風がWFに侵入する条件や、海陸で生じる温度差条件を想定した計算を行った。その結果、前者ではWFの先頭部から風速が低減する様子が再現された。また、後者では高い表面温度に起因する浮力の影響を受けて風車の後流効果が緩和され、風速が回復する結果となった。

今後の展開
実際の複雑地形において、整備したモデルの適用性検証を行う。さらに、得られる知見から発電量試算に資する情報創出を目指す。

概要 (英文)

With an increasing focus on the renewable energy, evaluating the economic feasibility of the offshore wind farms construction is underway of refinement. In case in Japan with near-shore wind turbines implementation, effects of both topographical and thermal (e.g., difference of land-sea surface temperature) heterogeneity may induce an error in the estimation of the wind power generation. In order to address this issue, we implemented the wind turbine drag model based on the actuator disk on the numerical weather prediction model (Weather Research and Forecast model, Skamarock et al.,2008). The test cases with the several wind turbine alignments under the neutrally stable constant pressure driven flow showed a reasonable agreement with the existing literature (Calaf et al., 2010). Furthermore, the wind turbine arrangements under a surface temperature difference assuming the ocean neighborhood with the land were examined. Unstable thermal stratification mitigated the velocity deficit caused by the wind turbine wake, due to the buoyancy-induced vertical mixing. This feature may partly explain a missing factor of the error in the near-shore wind field prediction by numerical weather prediction models.

報告書年度

2019

発行年月

2020/06

報告者

担当氏名所属

中尾 圭佑

地球工学研究所 流体科学領域

服部 康男

地球工学研究所 流体科学領域

平口 博丸

地球工学研究所

田村 英寿

地球工学研究所 流体科学領域

キーワード

和文英文
風車後流 Wind turbine wake
ウィンドファーム Wind farm
大気安定度 Thermal stratification
ラージ・エディ・シミュレーション Large-eddy simulation
数値気象モデル Numerical weather prediction model
Copyright (C) Central Research Institute of Electric Power Industry