電力中央研究所

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電力中央研究所 報告書(電力中央研究所報告)

報告書データベース 詳細情報


報告書番号

H19001

タイトル(和文)

高圧配電線雷事故率計算プログラムの改良 (I) -直撃雷による事故率計算と計算結果の雷リスク評価への適用-

タイトル(英文)

Development of Lightning Outage Rate Calculation Program for Medium Voltage Distribution Lines (I) - Calculation of Lightning Outage Rate due to Direct Lightning Strike and Its Application to Lightning Risk Assessment -

概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)

背 景
配電設備の維持・管理に要するコスト削減のためには,各地域の特性を踏まえた合理的な高圧配電線の雷害対策を行うことが重要である。高圧配電線の雷被害要因は,誘導雷,直撃雷,逆流雷(注1)の三つに大別され,これまで当所では,誘導雷および直撃雷に対する雷事故率を計算できるプログラムを開発し,各種雷害対策の効果を評価してきた(注2)。一方,近年では,国内の多くの高圧配電線で架空地線や避雷器等の耐雷機材が高密度に取付けられた結果,誘導雷による事故が大幅に減少し,直撃雷による雷事故の占める割合が高くなっている。このような状況を受けて当所では,高圧配電線雷事故率計算プログラムを直撃雷および逆流雷に対する雷事故率評価を中心とするための改良を進めている。
目 的
近年の直撃雷に対する高圧配電線の雷害対策に関する研究成果を踏まえ,直撃雷に対する高圧配電線雷事故率計算プログラムを改良するとともに,改良したプログラムを用いて地域特性を考慮した高圧配電線の雷リスク評価を実施する。
主な成果
1.直撃雷事故率計算プログラムの改良
従来の雷事故率計算プログラムに対して,雷サージ解析モデルや雷事故の判定方法および配電線への雷撃頻度を評価する電気幾何学モデルの精緻化を行った他,これまで考慮していなかった配電線の面的な広がりや周辺構造物の影響を考慮することにより,地域特性を考慮した雷事故率の計算を可能とした(表1,図1)。
2.改良したプログラムを用いた雷リスク評価
改良したプログラムに,電力会社で保有する配電設備データや落雷位置標定システムにより得られた落雷データ,国土地理院により提供されている土地利用区分データを適用することにより,地域毎の特性を考慮した雷リスクマップの作成を行った。雷リスクマップは,実際の雷事故の分布と良く一致しており,プログラムによる計算結果の妥当性が確認できた(図2)。本プログラムは,新たな雷害対策の実施に必要となるコストとこれによる雷事故低減効果の両方が評価可能であるため,直撃雷に対する合理的な雷害対策の検討に活用できる。

(注1) 無線通信鉄塔等の高構造物への雷撃時に,雷電流の一部が当該設備に電力を供給する配電線に流れ込む現象。従来は,山頂に位置する無線通信鉄塔で被害が多かったが,近年では,平野部においても携帯基地局の増加による雷被害の増加が報告されている。
(注2) 関連報告書:T92087,T98032,H12010
(注3) 本プログラムでは,がいし際での多相スパークオーバ,径間中央での相間スパークオーバおよび避雷器のエネルギー耐量の超過を雷事故と定義している。

概要 (英文)

It is important to establish the calculation method of lightning outage rate considering the regional characteristics for the effective lightning protection design of medium voltage distribution lines. As for this purpose, we have developed the lightning outage calculation program of medium voltage distribution lines due to direct lightning strike, which is the main cause of lighting outage in Japan. The developed program calculates the lightning outage rate by multiple lightning surge analysis by Monte Carlo method and can easily evaluate the lightning performance of the medium voltage distribution lines considering the facility configuration and the effect of lightning countermeasures. And also, we have proposed the correction method considering the regional characteristics such as configuration of distribution lines and structures around distribution lines and applied the calculation results to actual medium voltage distribution lines. The calculation results agree well with the actual lightning outage distribution, and we have confirmed the applicability of the proposed method. The developed program is an effective tool for deciding the rational lightning protection design.

報告書年度

2019

発行年月

2020/01

報告者

担当氏名所属

石本 和之

電力技術研究所 サージ・電磁気現象領域

キーワード

和文英文
高圧配電線 Medium voltage distribution lines
耐雷設計 Lightning protection design
雷事故率計算 Lightning outage calculation
直撃雷 Direct lightning strike
雷リスク評価 Lightning risk assessment
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