報告書番号

Y14014

タイトル（和文）

家庭における2011～14年夏の節電の実態－東日本大震災以降の定点調査－

タイトル（英文）

Ex-post analysis of electricity saving measures in the residential sector in the summers of 2011-14 - Continuous observations after the Great East Japan Earthquake -

概要 （図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております）

東日本大震災以降、夏場を中心に電力が不足しがちな状況が続いてきた。2011年夏は東京・東北電力管内で15%、関西電力管内でも10%の節電目標が設定された。2012年夏も、関電管内の10%目標を始め、全国的に節電が要請された。2013・14年夏は、数値目標のない節電要請にとどめられた。全体の節電量は政府報告書等でも分析されているが、部門別に見た節電実態の詳細や経年変化は十分には明らかにされていない。そこで、東電および関電管内の家庭における2014年夏の節電実態を把握し、前年までとの比較を通じて節電の継続状況を明らかにする。具体的には、過去調査に協力いただいた東電・関電利用世帯への追跡調査として、アンケート（Web方式；有効回答910名；2014年11月）を実施し、以下の点を明らかにした。
（１）気温影響控除後の2014年7～9月分の電気使用量（kWh）は、調査対象の東電・関電利用世帯で共に、2010年水準より約1割低かった。
（２）各種機器の節電意識や節電対策の実施率は、前年までに見られた変化ほどではないものの、2014年にかけても低下傾向にある。エアコンや照明の節電意識は、依然として震災前より高いが、最も高かった年と比べて低下している。テレビや冷蔵庫の節電意識は、震災前水準に近付きつつある。
（３）エアコン・冷蔵庫・テレビ・照明の購入や交換による効果（機器更新要因）は、2014年夏には約4%に蓄積していると推定された。利用時の我慢や工夫による効果（利用行動要因）は、2013年から14年にかけては維持傾向にある。背景として、対策面では一度きりの設定変更による効果持続や行動習慣化、動機面では電力不足解消から電気代節約への変化が生じている可能性も示唆される。
（４）需要抑制水準は維持されているものの、機器更新要因や、電気料金上昇が後退を押しとどめている節電継続分も含まれる。実施済みの利用時対策も多い。中長期需要想定をする際には、現状の需要抑制量に機器更新や利用行動変化の効果を上乗せするとダブルカウントにつながるおそれがあること、電気料金が抑制されれば効果の一部が失われる可能性もあることに留意すべきである。

概要 （英文）

Due to the Great East Japan Earthquake and the consequent reduction in the output of nuclear power, there have been continued shortages of electric power, particularly in the summer months. In the summer of 2011, electricity saving with a target of 15% was carried out in the service areas of Tokyo Electric Power Company (EPCo) and Tohoku EPCo. In the summer of 2012, efforts were made to save the electricity throughout Japan, particularly with a 10% target in the Kansai EPCo's service area. In the summers of 2013 and 2014, there were no numerical targets, while voluntary actions were recommended. This study aims to examine changes from 2011 to 2014 in terms of the electricity conservation rate, implementation rates of measures to save electricity, and awareness of electricity conservation. We conduct a follow-up questionnaire survey of about 910 households in Tokyo and Kansai area who participated in our previous surveys. Eliminating the effects of weather, the electricity consumption during July-September 2014 was lower by an average of approximately 10% than the 2010 level in each region. The implementation rate was lower than the level of the previous years, although the decrease ratios became smaller. There was a continuing effect by switching to energy-efficient appliances, approximately 1% per year, 4% in 2014. The reduction by behavior changes persisted from 2013 to 2014, partly because the electricity prices increased though normative motivation became weaker.

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