電力中央研究所

報告書「電力中央研究所報告」は当研究所の研究成果を取りまとめた刊行物として、昭和28年より発行されております。 一部の報告書はPDF形式で全文をダウンロードすることができます。

※ PDFのファイルサイズが大きい場合には、ダウンロードに時間がかかる場合がございます。 ダウンロードは1回のクリックで開始しますので、ダウンロードが完了するまで、複数回のクリックはなさらないようご注意願います。

電力中央研究所 報告書(電力中央研究所報告)

報告書データベース 詳細情報


報告書番号

Y12026

タイトル(和文)

家庭における2012年夏の節電の実態

タイトル(英文)

Ex-post analysis of electricity saving measures in the residential sector in the summer of 2012

概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)

東日本大震災後の原子力発電の稼働率低下により、特に夏場において電力が不足しがちな状況が続いている。2011年夏は東京・東北電力管内で15%の数値目標を伴う節電が実施された。関西電力管内でも10%の節電が要請されていた。2012年夏は、東電・東北電管内の数値目標は無かったが、関電管内の10%目標(大飯原発再稼働を受け7/26から適用;当初15%)を始め、全国的に節電が要請された。事業所や家庭の節電協力により需給逼迫は回避されたが、その実態は十分には明らかにされていない。そこで、東電および関電管内の家庭における2012年夏の節電実態を把握し、2011年夏との比較を通じて節電の継続状況を明らかにした。
具体的には、前年実施の調査に協力いただいた東電利用世帯に追跡調査(有効回答約1500名;2012年11月、Webアンケート方式)を実施すると共に、関電利用世帯については新規調査(約1100名;同上)により両年の実態を尋ねることで、以下の点を明らかにした。
(1)気象影響控除後の2012年7~9月分の電力消費量(kWh)は、調査対象の東電利用世帯で2010年水準より平均11%、関電利用世帯で平均9%低かった。東電利用世帯では、行動ベースの効果はやや小さくなったが、省エネ製品への買い替え効果の継続もあり、前年夏と同程度の水準が維持されたと推察される。関電利用世帯は、当初大幅節電が求められたことも受け、節電率が上昇した。
(2)エアコンや照明を中心に、様々な用途で節電が意識されている。しかし、東電利用世帯の意識は前年水準をやや下回り、エアコン利用時間減や照明点灯時間減といった対策の実施率低下が大きめだった。関電利用世帯では、2011年夏の東電ほどではないものの、2012年には全体的に実施率が上昇した。地域や年によるこうした傾向は、節電への積極性についてもみられた。
(3)節電の動機や取り組みは、関電利用世帯では前年水準を上回った。一方、東電利用世帯では、電気料金値上げの動きも受けて経済的動機は強化されたが、規範的動機と情報的動機は弱まった。また、我慢を伴う節電は弱まる傾向が見られた。前年調査で示された継続意向が翌年の行動につながっていない場合も少なからずあり、節電の継続性については引き続き注視していく必要がある。

概要 (英文)

Due to the Great East Japan Earthquake and the subsequent reduction in the operating rate of nuclear power plants, there have been continued shortages of electric power, particular in the summer months. In the summer of 2011, electricity saving with a target of 15% was carried out in the service areas of Tokyo Electric Power Company and Tohoku Electric Power Company. In the summer of 2012, efforts were made to save the electricity throughout Japan, particularly with a 10% target in the Kansai Electric Power Company's service area. This study aims to examine changes from 2011 to 2012 in terms of the electricity conservation rate, implementation rates of measures to save electricity, and awareness of electricity conservation. We conduct a follow-up survey of about 1500 households in Tokyo who participated in our previous survey, and a new survey was conducted to about 1100 households in Kansai. Excluding the effects of weather, the electricity consumption during the months of July-September 2012 was lower by an average of 11% than the 2010 level in Tokyo, and by an average of 9% in Kansai. The implementation rate was slightly lower than the level of the previous year in Tokyo. In Kansai, the implementation rate increased in 2012, although not to the extent of Tokyo households in the summer of 2011. In Tokyo, normative motivation and informational motivation became weaker, while economic motivation was stronger partly stimulated by the electricity rate increases in September 2012.

報告書年度

2012

発行年月

2013/04

報告者

担当氏名所属

西尾 健一郎

社会経済研究所 エネルギー技術評価領域

大藤建太

会津大学コンピュータ産業学講座

キーワード

和文英文
節電 Electricity Saving
省エネルギー Energy Efficiency
温暖化政策 Climate Change Policy
家庭部門 Residential Sector
電力需要 Electricity Demand
Copyright (C) Central Research Institute of Electric Power Industry