電力中央研究所

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電力中央研究所 報告書(電力中央研究所報告)

報告書データベース 詳細情報


報告書番号

Y12002

タイトル(和文)

事業所アンケート調査に基づく2011年夏の節電実態 -東日本地域を中心とした分析-

タイトル(英文)

Questionnaire survey on firms' activities to save electricity in the summer of 2011 - Focusing on results from eastern Japan -

概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)

東日本大震災後の電力不足を受け,2011年夏には各業界で大幅な節電対策が進められた。その貴重な経験を詳しく事後検証し,今後への示唆を得ることが重要である。本稿では,2011年11月~12月に当所で実施した全国の事業所約28,000件へのアンケート調査結果について,2011年夏において節電が特に重要であった東北電力・東京電力管内(以下,東日本地域)を中心に報告する。まず,本調査サンプルにおける夏期最大電力の前年比削減率の平均値は,東北,東京,およびその他の電力会社管内において,それぞれ16.1%,17.6%,5.5%であった。次に,東日本地域の事業所について,実施された節電対策,付随する費用負担や業務影響等を分析し,以下を明らかにした。
1) 産業部門では,時間シフト,生産プロセスの稼働減,自家発電による節電寄与が大きかった。大口需要家の工場では83%で時間シフト対策が,33%で自家発電設備による節電対策が実施された。
2) これらの対策に伴う費用負担や悪影響は大きかった。大口需要家の工場での費用平均は約1,500万円であり,その50%程度を自家発電対策費が占めた。また生産減,時間シフト,自家発電対策の悪影響への認識は強く,継続意向は低かった。今後の電力需給対策では,大幅な節電には特に大規模工場において大きな費用負担や悪影響を伴うことを十分に認識する必要がある。
3) 業務部門では,最大電力削減の70%以上は照明・空調対策によるものだった。主な対策は照明の間引きと空調設定温度の変更であり,いずれも約80%の事業所が実施した。2010年夏と比べ照明は約20%削減され,空調温度は約2℃上昇した。
4) 業務部門では,半数以上の事業所で節電費用が生じず,発生した費用の60%は照明・空調設備の高効率化であった。電気料金削減効果も大きく,大半の事業所で費用を上回った。また,総じて悪影響の認識は低く,継続意向は高かった。
5) 「緊急節電」が進展した一方で,外気導入量の制御など「省エネ」の実施率は低く,データを用いたエネルギー管理の実施率も低かった。エネルギー管理体制の強化や基本的な省エネ対策の推進の余地は依然として大きいと考えられる。
今後は,東日本以外の地域についても分析を行い,今後の節電・省エネ施策のあり方を検討していく。

概要 (英文)

Japan experienced an unprecedented electricity crisis in the summer of 2011 due to the earthquake and Fukushima accidents. As a result of the great effort of companies, households, and the government, the electricity demand was significantly reduced and blackouts were avoided. This report summarizes results of the questionnaire survey on firms' activities to save electricity in response to the power shortage. Questionnaires were sent to about 28,000 firms all over Japan in the middle of November, with collection rate of 22%. This report focuses the results from eastern Japan, where reduction of electricity demand by 15% compared to the peak demand was mandatory in 2010 summer. Reduction rate of peak demand in service areas of Tohoku, Tokyo, and other Electric Power Companies are 16.1%, 17.6%, respectively. Major measures taken in industrial firms were shifting hour of operation to midnight and/or early morning, increasing capacity of in-house power generators, and limiting operations, whereas those in offices and commercial facilities were reducing lighting, turning the temperature settings up, and limiting air-conditioning use. We estimate that 46% of the reduction in the Tokyo region was brought about by operational changes in lighting and air-conditioning in commercial sector, 10% by shifting hour of operation in industrial sector, and 7% by enhancing in-house power generators. We also show that, while "saving electricity in a hurry" was successfully achieved, implementation rates of energy efficiency measures were low.

報告書年度

2012

発行年月

2012/05

報告者

担当氏名所属

木村 宰

社会経済研究所 エネルギー技術政策領域

西尾 健一郎

社会経済研究所 エネルギー技術政策領域

山口 順之

社会経済研究所 電気事業経営領域

野田冬彦

野田エネルギー管理事務所

キーワード

和文英文
節電 saving electricity
事業所 firms
アンケート調査 questionnaire survey
東日本 eastern Japan
省エネルギー energy efficiency
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