電力中央研究所 報告書(電力中央研究所報告)
報告書データベース 詳細情報
報告書番号
Y10026
タイトル(和文)
業務部門における省エネルギー対策の取り組みレベルと促進要因
タイトル(英文)
Energy Management and Driving Forces of Energy Efficiency in Commercial Buildings
概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)
我が国の省エネ技術水準は世界的にもトップレベルで、ハード的な側面については政策担当者や研究者から多くの関心を集めている。しかし、人や組織にかかるソフト的な課題については検討が十分に進んでいない。省エネ対策の進展に向けて、バリア(阻害要因)を解消するとともに、効果的なドライバ(促進要因)を与える方策を講じていく必要がある。そこで本研究では、業務部門の大規模事業所に焦点をあて、ドライバの一例として法条例対応と経費節減意識に着目し、省エネ対策への取り組みに及ぼす影響を定量的・定性的に明らかにする。主な成果は以下のとおりである。
(1)東京都の業務部門大規模事業所に郵送アンケート調査を実施し、都の「地球温暖化対策計画書制度」や国による省エネ法の実務対応者を中心に、285件(有効回収数)の回答を得た。調査協力者の認識について、以下の点を明らかにした。
省エネのドライバとして法条例対応の影響を指摘する回答が約9割と多く、経費節減意識は約6割であった。ここで、経費節減意識と取り組みレベルの自己評価との間に相関関係が見られるのが特徴的である。
より詳しく因果関係を分析したところ、経費節減を意識して省エネ対策にのぞめるかどうかが、法条例と同程度に事業所の取り組みに変化をもたらしていた。
因果関係の分析からは、次の点が実証された。①「エネルギー管理能力」に関係する代表的な要因は、エネルギー計測データの分析・活用が進展することや、管理体制がより機能するようになることであった。データは収集量が増えることよりも、分析・活用にまで踏み込めるかどうかに意味がある。②「周囲の協力」に関係する代表的な要因は、経営層の理解獲得である。投資資金を確保しやすいことや、利用者やテナントの理解を獲得できることも関係が深い。
(2) 以上の傾向について、インタビュー・文献調査にもとづき定性的に考察した。
オーナーが管理会社などへ積極的に接触することで、省エネ余地の掘り起こしにつながる。経費節減意識を持つことや法条例の対象となることは、そのきっかけを与える。
一方で法条例については、事業所によっては表面的な対応にとどまることもあり、そのような場合はエネルギー管理レベルの底上げへ効果が十分とは言えない。
概要 (英文)
The actual level of market penetration of cost-effective, energy-efficient technologies is often below their optimal level of market penetration; the gap between the actual and optimal levels of market penetration is known as the "energy efficiency gap," and it arises due to various hindering factors known as "energy efficiency (EE) barriers." Very little is known about how driving forces contribute to overcome EE barriers, while the removal of EE barriers has been relatively discussed in previous studies. This study aims to grasp the overall picture of the current status of energy management and of extent of influences of driving forces. We conduct an empirical analysis based on questionnaire survey of about 300 large-scale commercial buildings. The result shows that regulation policies of EE make positive changes in energy management and cooperative attitude for EE activities, while the awareness of cost-cutting requirements also accelerates those changes. Moreover, cooperative attitude is closely related to gaining better understanding of corporate executives as well as users and tenant in buildings. The statistical analysis also reveals that well-organized energy management system and efforts to elaborate energy data are more important than collecting data.
報告書年度
2010
発行年月
2011/04
報告者
担当 | 氏名 | 所属 |
---|---|---|
主 |
西尾 健一郎 |
社会経済研究所 エネルギー技術政策領域 |
共 |
木村 宰 |
社会経済研究所 エネルギー技術政策領域 |
共 |
野田 冬彦 |
社会経済研究所 エネルギー技術政策領域 |
キーワード
和文 | 英文 |
---|---|
省エネルギー | Energy Efficiency |
CO2削減ポテンシャル | CO2 Emission Reduction Potential |
温暖化政策 | Climate Change Policy |
業務部門 | Commercial Sector |
オフィスビル | Office Building |