電力中央研究所

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電力中央研究所 報告書(電力中央研究所報告)

報告書データベース 詳細情報


報告書番号

Y10020

タイトル(和文)

業務・産業需要におけるデマンドレスポンスのポテンシャル評価-関東圏の事業所アンケート調査に基づく集計・分析-

タイトル(英文)

Market Potential of Demand Response in Commercial and Industrial Sectors-Questionnaire Survey in Kanto Area-

概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)

米国を中心に,デマンドレスポンス(Demand Response, DR)の検討・導入が進められている。わが国においては,年負荷率は近年改善傾向にあり,需要家側対策の緊急性はないが,これまで通りの着実な供給設備の維持・形成に加えて,DRについても安定かつ経済的な電力供給のためのオプションとして,検討を行う価値はあると考えられる。業務・産業需要は,家庭と比較して,経済的インセンティブに応じやすいと推測されることから,比較的大きな負荷削減ポテンシャルが期待できる。そこで,業務・産業需要家に対するDRプログラムの負荷削減ポテンシャルを推計した。
関東圏7都県に所在する従業員数50人以上の業務・産業事業所に対し,2009年10月に郵送アンケート調査を実施し,1,116件の有効回答を得た(回収率7.7%)。この集計結果と,政府統計より,対象地域全体における事業所種類別・方策別の負荷削減ポテンシャルや需要家が希望する金銭的インセンティブを推計した。
1. 事業所種類別・方策別の負荷削減ポテンシャルの推計
契約電力規模別,事業所用途別の負荷削減ポテンシャルは,500kW以上の工場が大きく,負荷削減量全体の69%を占める。オフィス・事業所では,一軒当たりの規模が小さい500kW未満の契約電力規模の需要家であっても,足し合わせることである程度の負荷削減ポテンシャルを持つ可能性がある。
方策別では,生産プロセスの一部停止の負荷削減ポテンシャルが大きく,負荷削減量全体の約47%を占める。続く方策は,居室温空調の温度設定や停止と,照明の消灯もしくは間引き点灯である。
2. 需要家が希望する金銭的インセンティブの推計
需要家が希望する金銭的インセンティブは,対象地域全体で約100万kWの負荷削減を実施する場合で1,257円/kW・夏季平日3時間となるが,金銭的インセンティブを減らしていくと,負荷削減量も小さくなる。

概要 (英文)

Demand response programs which are expected as a measure to mitigate price spikes at electricity exchanges and tightness of electricity supply-demand in the U.S. are worth investigating as one of the options for supplying electricity appropriately and reliably in Japan. The objective of this study is to assess the market potential of demand response programs using questionnaire survey data. This evaluation is based upon data from 1,116 customers in Kanto area. The results are as follows:
-Of demand reduction potential in the target area, about 69% would be achieved by customer categorized into factory of which contract demand is over 500kW. A category of office building of which contract demand is less than 500kW would have high DR potential even though the DR potential of each office building is low.
-In each strategy, demand reduction potential of stop of manufacturing process stop is large, and it accounts for about 47% of the entire amount of demand reduction. The following strategies are changing temperature setting, and turning off or dimming lighting.
-Financial incentive which customers require would be 1,257 Yen/kW when 1 GW demand reduction would be called in the target area. The amount of demand reduction is getting smaller if the financial incentive is smaller.

報告書年度

2010

発行年月

2011/04

報告者

担当氏名所属

山口 順之

社会経済研究所 エネルギー事業政策領域

高山 正俊

社会経済研究所 エネルギー技術政策領域

キーワード

和文英文
デマンドレスポンス Demand Response
市場ポテンシャル Market potential
業務・産業部門 Commercial and industrial sectors
負荷削減方策 DR strategy
アンケート調査 Questionnaire Survey
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