電力中央研究所 報告書(電力中央研究所報告)
報告書データベース 詳細情報
報告書番号
V19001
タイトル(和文)
コンクリート用フライアッシュの環境安全品質に係る基礎調査 -FAコンクリートの溶出特性の把握と今後に向けた課題の整理-
タイトル(英文)
Basic Research for Environmental Safety Quality for Fly Ash - Leaching Characterization of Fly Ash Concrete and Future Subjects -
概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)
背 景
廃棄物や副産物を土木・建築資材として積極的に利用することが求められている。こうした循環資材は:環境安全性に配慮すべき化学物質を含むことがあるため:環境安全性に係る品質基準を定め:管理しながら利用する仕組みづくりが必要である。コンクリート混和材用の石炭灰(以降FA)の品質を規定するJIS A 6201についても:次回見直しの際には:環境安全品質の設定に関する議論が予定されている。
目 的
コンクリート混和材に求められる環境安全品質について整理するとともに:FAコンクリートから溶出する規制対象物質の種類と濃度を把握し:今後の課題を明らかにする。
主な成果
1. コンクリート混和材における環境安全品質の考え方
循環資材の環境安全品質は:環境中で使われる状態を基に決められる。したがって:混和材としてのFAの環境安全品質は:FA単体ではなく:コンクリートまたはモルタルの状態で評価することが適当である。また:コンクリートのライフサイクルにおいて:環境への影響が最も大きいのは:構造体として使用後:解体ガラを路盤材等として再生利用する時であるため:これを模擬した試験体を作製し:評価を行う必要がある。
2. FAコンクリートの溶出に関する予備調査
(1) 材齢の経過したFAコンクリートの溶出性
作製後3~44年経過したFAコンクリート(FA置換率15~40%)7試料を路盤材の粒度に調整後:溶出試験(JIS K 0058-1)に供した。規制対象物質の内:検出されたのはホウ素(最大0.057mg/L)のみで:環境基準(1mg/L)と比較しても十分低い値であった。
(2) FAの混和による溶出への影響
規制対象物質の含有・溶出量の異なる8種類のFAを用いて:FAモルタル(FA置換率25%)を作製し:溶出試験したところ:六価クロムの溶出が確認された。しかし:FAを混和しないモルタルでも同程度の溶出が見られ:セメントの寄与が無視できない。また:モルタルからの六価クロムの溶出は:FA中の全クロム含有量や六価クロム溶出量よりも:大気との接触に伴う炭酸化の影響を大きく受けることが明らかになった。
3. 今後の課題
関連団体と調整:協調して:適切な環境安全品質を設定するとともに:セメントの種類や灰種の影響等について更に知見を蓄え:模擬試験体から材齢の経過したコンクリートの溶出性を推定する手法を開発する。
概要 (英文)
The confirmed systems of recycling waste materials and by-products have been required. In addition since some types of recycle materials contain hazardous elements slightly: securement of their environmental safety has been highly concerned. Under that background: setting of Environmental Safety Quality (ESQ) for recycle materials has been developed: and was put into action in the slag-related Japanese Industrial Standard (JIS A 5011). And now discussions on the fly ash for concrete (JIS A 6201) have begun. We investigated the leaching characterizations of fly ash mixed concrete (FA concrete) and obtained the following results.
(1) The leaching characterizations of aged FA concrete
7 samples of FA concrete cores (FA replacement rate of 15-40%) aged 3-44years were investigated. Boron (Max. 0.057mg/L) was detected for 3 samples.
(2) The leaching characterizations of FA concrete and FA mortal
FA concrete blocks (FA replacement rate of 0: 15 and 30%) aged 0-3 months were investigated. Boron (nearly 0.02mg/L) was detected for the FA concrete ((FA replacement rate of 30%) under atmospheric curing for 0.5-1 month. Using 8 types FA: FA mortal bars (FA replacement rate of 25%) were made and cured under sealing or atmospheric conditions for 6 months. Hexavalent chrome (Cr(VI)) and nearly detection limit concentration of boron and fluoride were detected. But Cr(VI) was also detected from standard mortal bar. Along with the mortal carbonation: Cr(VI) concentration became higher.
報告書年度
2019
発行年月
2020/02
報告者
担当 | 氏名 | 所属 |
---|---|---|
主 |
井野場 誠治 |
環境科学研究所 環境化学領域 |
共 |
山本 武志 |
地球工学研究所 バックエンド研究センター |
キーワード
和文 | 英文 |
---|---|
フライアッシュ | Fly Ash |
環境安全品質 | Environmental Safety Quality |
循環資材 | Recycled Materials |
溶出試験 | Leaching Test |