電力中央研究所

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電力中央研究所 報告書(電力中央研究所報告)

報告書データベース 詳細情報


報告書番号

V10034

タイトル(和文)

バイオ燃料用作物の育種・生産(その3)-ジャトロファ農業特性の系統間変異とその相互関係-

タイトル(英文)

Breeding and production of bio-energy crop (part 3)- variation and mutual relationship of agricultural characteristics of Jatropha curcas L.-

概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)

バイオ燃料作物生産と食糧生産との競合を回避する策として、「バイオ燃料用植物を荒廃地など栽培不適地植物で栽培する」ことが推奨されているが、実現のためには干ばつや塩害、低温や貧栄養などさまざまな環境ストレスに強いバイオ燃料植物を新奇に探索するか品種を栽培・育種する必要がある。ジャトロファ(Jatropha curcus:ナンヨウアブラギリ)は世界的に次世代バイオ燃料作物の本命として注視され各地でプランテーションが進行しつつあるが、実際には葉灌漑設備や施肥が充分でないと油脂生産性が低くなるため、油脂高生産性母樹または乾燥・寒冷耐性や病害耐性、高油脂含量などの良形質を持つ品種の確立を目指した育種材料の選抜が求められている。本研究では現存するジャトロファ系統の農業特性・形態特性の系統間変異を明らかにし、優れた遺伝形質を持つ育種材料を選定に向けた選抜指標を検討することで、今後の品種改良の基礎的データを得ることを目的とした。
本試験で栽培したジャトロファでは生育速度やサイズ枝分かれ、雌花数、果実数に目立った系統間変異が観察された。これらの形態的特性および農業特性は種子収量にも反映され、植物体当たりで最大13倍程度の収穫量に変異が認められた。調査した特性の遺伝パラメータからも各系統は変異に富むことが推定された。とりわけ生長速度や枝分かれ数では遺伝要因によって形質が制御されることが示された。また、多変量解析の結果供試した系統は3群に大別され、第2群では早生・矮性・中収量の特徴があった。その中でもBima、Parung Panjang 1,2および4は明確な系統特性を示す良系統と判断できた。以上の結果から、ジャトロファ育種の母樹として有力な系統を選定し、油脂生産量の間接的な指標として適用可能な選抜形質を特定することができた。

概要 (英文)

Globally, Jatropha curcas L. (Euphorbiaceae) holds much promise for producing biodiesel; it is cultivated in many tropical countries. The aim of the study was to determine source variation in Jatropha curcas germplasm collection obtained from various independent locations of seven islands in Republic of Indonesia. A significant source variation was observed in growth speed (flowering time and harvesting time), size (plant height and petiole length), branching (branch and segment number), numbers of female flower and fruits per inflorescence. Consequently, amount of seed production per plant was varied from 13.0g to 266.0g. The phenotypic and genotypic coefficient of variability and broad sense heritability also showed a considerable variability. In particular, growth speed and branching parameters demonstrated higher percentage of broad sense heritability, offering scope to undertake breeding and selection of Jatropha germplasm accessions for the desired traits. Principal Component Analysis and Hierarchical Cluster Analysis revealed that individuals of accession were classified into three major clades. Clades 2 represented reliable desired traits "early flowering, dwarf and moderate seed production" and the accessions Bima, Parung Panjang 1 and 4 were found as better sources in comparison to others.

報告書年度

2010

発行年月

2011/05

報告者

担当氏名所属

橋田 慎之介

環境科学研究所 バイオテクノロジー領域

吉原 利一

環境科学研究所 バイオテクノロジー領域

後藤 文之

環境科学研究所 バイオテクノロジー領域

庄子 和博

環境科学研究所 バイオテクノロジー領域

Erliza Hambali

ボゴール農業大学 SBRC

Endang Warsiki

ボゴール農業大学 SBRC

Fifin Nisya

ボゴール農業大学 SBRC

キーワード

和文英文
ジャトロファ Jatropha curcas L.
生殖質 Germplasm
農業特性 Agricultural characteristics
遺伝率 Heritability
インドネシア Indonesia
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