電力中央研究所

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電力中央研究所 報告書(電力中央研究所報告)

報告書データベース 詳細情報


報告書番号

V09001

タイトル(和文)

硫黄同位体比を用いた貯水池堆積物の嫌気化進行の推定

タイトル(英文)

Sulfur isotope determination of anoxic process in the reservoir sediments

概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)

貯水池内では,出水時に発生した濁水や流木の一部が沈降し長年堆積している.このような堆積物の内部は無酸素状態となっていることが多く,嫌気的な環境が進行する場合がある.これまで著者らは,直上水が好気的であっても堆積物の内部では嫌気的な雰囲気になることを室内実験から確認している.しかしながら,嫌気化の最終段階(硫酸還元やメタン生成)を議論するまでにはいたっていない.上記過程からは硫化水素やメタンなどのガス発生があり,今後の貯水池排砂・堆砂管理において,下流域での悪臭や酸素低下などの影響を考えると堆積物内部の嫌気化進行は無視できない.
本研究では,長期嫌気化試験の堆積物の硫黄同位体比を分析することによって,嫌気化進行過程と硫黄同位体比の関係について検討し、硫黄同位体比の鉛直分布が時間経過とともに変化しある層を境にその傾向が逆転していることを明らかにした.さらに、現地より採取した未撹乱堆積物試料の硫黄同位体比が地点間や出水などのイベントによって変化(1-6‰δ34S)していること,堆積物下層に存在している黒色葉の硫黄同位体比(1.38‰ δ34S)は水面に浮いている葉の同位体比(Ave. 5.64‰ δ34S)よりも低くかった.最後に,上層から下層への硫黄同位体比が増加する変化について、現地調査の堆積物変化からメタン生成の進行が推定できることがわかった。

概要 (英文)

The reduction substance product from the anoxic process (nitrate reduction, sulfur reduction and methane fermentation) in the reservoir sediments was significant problem for downstream and costal area environments. We obtained by long time (450days) experiment that anoxic region existence at lower layer (less than 8cm) although above water column condition were aerobic. However anoxic source and behavior of anoxic process changing in the sediments were not obviously. Hydrogen sulfide and methane gas effected the global environment were produced by microbiological process (anoxic reduction) in the sediments. The aims of study were clarification of changing anoxic layer by investigation of stable sulfur isotope (34S) in the sediments, flouted-leaf water surface of reservoir and humus-leaf in the sediments. As the results of investigation, vertical distribution of stable sulfur isotope (34S) was critical changing (1 6 34S). And stable sulfur isotope of humus-leaf in the sediments (1.38 34S) was lower than that of flouted-leaf in water surface of reservoir (Ave. 5.64 34S). The decline of 34S was presumed to depend on dissolved by sulfur-oxide bacteria. Lastly, we suggested that distribution of 34S in the sediments under the long term anoxic conditions were alteration at the boundary on middle layer (about 8cm).

報告書年度

2009

発行年月

2009/09

報告者

担当氏名所属

今村 正裕

環境科学研究所 水域環境領域

松梨 史郎

環境科学研究所 水域環境領域

若松 孝志

環境科学研究所 環境リスク評価領域

長岡 亨

環境科学研究所 バイオテクノロジー領域

キーワード

和文英文
硫黄同位体比 Sulfur isotope
硫酸還元 Sulfate reduction
貯水池 reservoir
堆積物 sediments
嫌気化 anoxic reduction
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