電力中央研究所

報告書「電力中央研究所報告」は当研究所の研究成果を取りまとめた刊行物として、昭和28年より発行されております。 一部の報告書はPDF形式で全文をダウンロードすることができます。

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電力中央研究所 報告書(電力中央研究所報告)

報告書データベース 詳細情報


報告書番号

V08049

タイトル(和文)

省エネルギー植物生産技術の開発(1)-AM菌を利用した植物の金属吸収の基礎的検討-

タイトル(英文)

-Studies on metals absorption using AM fungi inoculation-

概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)

高度に発達した現代の日本農業は、社会的状況の変化によって、新たな取り組みが求められている。まず、エネルギーセキュリティーの観点からは、いかにエネルギー投入を抑えて持続的な農業を行えるかが問われつつある。日本の農業は、一部の例外を除いて、石油によって成り立っているといっても過言ではない。地球温暖化の視点からは、いかに温室効果ガスの発生を抑えるかが課題となる。地球温暖化によって農業の維持が困難な事象が将来起こることが示唆されてきており、持続的な農業を目指すためには、温室効果ガスの排出に留意した農法を開発するべきである。特に、多肥料投入農法は早急に改める必要がある。
以上のような状況にあって、近年アーバスキュラー菌根菌(以下AM菌と略す)を利用した農業に注目が集まってきている。AM菌は植物と共生し、リンや窒素などの栄養分の吸収に寄与することが知られており、低肥料投入型農業の1つの型として認知されつつある。今までの多数の研究成果、また、実地における栽培によって、AM菌と植物との共生についての知見が蓄積されてきており、金属の根からの吸収についてもAM菌の作用が考えられつつある。しかし、AM菌はライフサイクルを完全に宿主の根に依存しているため培養は困難であることから、研究手法に限りがあり、金属との関連性についての報告はあるものの、生理学および分子生物学的知見の蓄積は少なく、AM菌を作物生産に生かすためには、今後の研究の方向性を明らかにする必要がある。一方、ヘビノネゴザは、重金属蓄積植物としてよく知られており、当所においても金属の吸収についての知見と研究手法の蓄積がある。
本報告では、2章において、AM菌の一般的性質とAM菌が宿主根の金属吸収に及ぼす影響について、既存の論文から明らかにし、今後の課題を抽出した。さらに3章において、ヘビノネゴザを実験植物として利用できるかどうかを明らかにするための基礎的検討について報告する。

概要 (英文)

To cope with global warming and energy security, usual agriculture using much fertilizer and energy should be converted into low-put agricultural systems. The one of the systems is to use arbuscular mycorrhizal (AM) fungi. AM fungi is the most common root symbiont,likely forming associationswith the majority of plant species. AM fungi facilitate plants uptake of
phosphorus, a limiting nutrient in many soils, however, the relationship between AM fungi and uptake of essential elements such as copper and iron is known little.
Hyper accumulator plants can be grown in the soil with high concentration of the heavy metals in which ordinary plants cannot be grown. For instance, there is a plant that can accumulate the heavy metal of % order in its body such as Hebinonegoza (Athyrium yokoscense), that is a fern seen in East Asia. We have developed plants for phytoremediation using a gene manipulation technique based on the knowledge related to the ability of such a hyper accumulator. In this report, we reviewed the general characterization of AM fungi related with uptake of metals and the influence on the metal absorption of the host roots in Chapter 2. In addition, it reports on a basic examination that uses Hebinonegoza in Chapter 3.

報告書年度

2008

発行年月

2009/07

報告者

担当氏名所属

後藤 文之

環境科学研究所 バイオテクノロジー領域

吉原 利一

環境科学研究所 バイオテクノロジー領域

庄子 和博

環境科学研究所 バイオテクノロジー領域

キーワード

和文英文
アーバスキュラー菌根菌 Arbuscular mycorrhizal fungi
食糧生産 Food production
金属 Metals
ヘビノネゴザ Athyrium yokoscense
低投入農業 Low input agriculture
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