電力中央研究所

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電力中央研究所 報告書(電力中央研究所報告)

報告書データベース 詳細情報


報告書番号

SS23010

タイトル(和文)

放射線防護基準値の設定と放射線測定による適合性判断の調査―保守性と不確かさに関連して―

タイトル(英文)

Survey on Setting Radiation Protection Standards and Conformity Assessment by Radiation Measurements -In Terms of Conservatism and Uncertainty-

概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)

背  景
国際放射線防護委員会ICRP(International Commission on Radiological Protection)の放射線防護体系は、正当化、最適化、線量制限を三原則としている。線量制限のうち、個人の被ばく線量を制限する線量限度に基づく規制基準値の設定と、規制基準値を超えていないことの判断には、比較的大きな保守性が内在すると指摘されている。このような保守性を適正なレベルにすることが最適化では重要であるものの、規制基準値設定のための被ばく線量評価には、シナリオやパラメータ等の不確かさが、適合性判断の放射能濃度等の評価には、放射線測定に基づく不確かさが必ず付随する。そのため、保守性の適正化を検討するためには、保守性と不確かさの扱いについても把握しておくことが重要である。
目  的
放射線防護に関する規制基準値の設定、及び放射線測定に関するマニュアル等を調査することにより、規制基準値と適合性判断における保守性と不確かさの扱いを明らかにする。また、不確かさも考慮したうえで保守性を適正化するためのアプローチについて提示する。
主な成果
(1) 規制基準値の保守性の調査
放射線管理区域内の空気中濃度限度、排気中又は空気中の濃度限度、及び排液中又は排水中の濃度限度の設定には、作業時間と摂取年数の想定に大きな保守性が含まれる。公衆に対しては複数の行為に対する被ばく線量の評価プロセスが簡素化できる一方で、より現実的なパラメータ等を用いた線量評価の場合は説明性が向上する可能性が考えられた。
(2) 放射線測定による適合性判断の保守性と不確かさの調査
放射能評価方法においては保守的に評価することを求める箇所は限定的であり、多くはバックグラウンド放射線を差引きすること、複数回測定では平均値を採用することを示していた。補正等により差異が生じる場合であっても5%程度以内である場合は考慮する必要がないこと等、運用面では現実的な方法を示していた。また、放射線測定器の品質管理に関して、機器の個体差等のばらつきを含めた不確かさを許容範囲として示していた。

本調査結果等を踏まえ最適化に資するための保守性を適正化するアプローチを検討した。運用面までを考慮した上で保守的に扱うことによる現状の効果を評価・分析し、検出下限、及び不確かさを含んだ適合性判断等に対する共通認識を構築することが必要である。さらに、これらを活用して合意形成を目指すとともに、必要に応じて適宜見直すことも重要と考えられる。

概要 (英文)

The system of radiological protection provided by the International Commission on Radiological Protection (ICRP) is based on the three principles of justification, optimization, and dose limitation, while taking into account the latest scientific knowledge, experience, and value judgments. Radiation measurements are generally used to determine that the evaluated values, such as activity concentrations, do not exceed the radiation protection standards, the so-called "conformity assessment". In this study, the conservatism and uncertainties, which are included in the setting of radiation protection standards and in radiation measurements for conformity assessment, were investigated by literature survey for the Japan Industrial Standards, radioactivity measurement series, and other available guidelines and manuals. As a result, it was found that normally radiation measurements are carried out by subtracting the contribution of the background, their uncertainties are treated as an accompanying information, and uncertainty was also used as an index for quality management of radiation measurement devices. It was also revealed that, in some cases, simplicity was considered in the parameter setting both in the derivation of radiation protection standards and in the activity evaluation using radiation measurement in terms of the practicability in the operation. Possible approaches to optimize the conservatism with considering the uncertainty were also discussed.

報告書年度

2023

発行年月

2024/05

報告者

担当氏名所属

佐々木 道也

サステナブルシステム研究本部 生物・環境化学研究部門

木村 建貴

サステナブルシステム研究本部 生物・環境化学研究部門

キーワード

和文英文
放射線防護基準値 Radiation protection standards
適合性判断 Conformity assessment
放射線測定 Radiation measurement
保守性 Conservatism
不確かさ Uncertainty
Copyright (C) Central Research Institute of Electric Power Industry