電力中央研究所 報告書(電力中央研究所報告)
報告書データベース 詳細情報
報告書番号
SS23009
タイトル(和文)
海底直流送電の敷設ルート選定のための海底地盤ハザードの整理とデータベース化
タイトル(英文)
Summary and database compilation of a submarine ground hazard for route selection of DC submarine cables
概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)
背 景
2050年カーボンニュートラル実現に向けて,洋上風力をはじめとした再生可能エネルギーの導入が推進されている.再生可能エネルギーが大量に供給できる適地は大需要地から離れており,海底ケーブルを用いた超高圧の海底直流送電の整備計画が検討されている.海底直流送電の敷設ルート選定においては,敷設が可能な水深,地質などの自然条件・社会条件に加えて,海底ケーブルを損傷しうる海底地盤ハザードを適切に考慮することが重要である.
目 的
海底直流送電のケーブル損傷リスク要因となる地盤ハザードとその特徴を明らかにし,ケーブル敷設ルート選定上のリスク対応に貢献するハザードデータベースを構築する.
主な成果
(1) 海底通信ケーブル損傷事例と混濁流の物理的性質の整理
国内外の文献を参照し,海底通信ケーブル損傷事例として,海底地すべりに派生した混濁流が要因となったケースを複数確認し,その概要を取り纏めた.該当事例は,地震に伴うものが多く,中には台風に伴うものもあった.また,参照した事例を基に海底ケーブル損傷の主要因と考えられる混濁流の物理的性質を整理した.
(2) 日本海東縁部における海底活断層と海底地すべりの特徴
海底地形と海底下地質構造の調査手法を概説し,日本海東縁海域の海底下断面例を紹介した.また,北海道南西沖を例として既存の海底地形データを解析し,海底活断層・海底地すべりの分布と地形的特徴について検討した.その結果,逆断層上盤の非対称背斜の急傾斜側で広範囲に地すべりが多く分布することがわかった.
(3) 地盤ハザード情報のデータベース化
海底ケーブルの損傷リスク要因となる地盤ハザードとして,日本周辺海域における海底地すべりと海底活断層の分布を500 mメッシュでデータベース化した.ケーブル敷設ルートの選定にあたり,敷設可能な水深や社会的条件のほか,これらのメッシュを通過しない条件を設定することにより,ケーブル損傷リスクの低減が期待できる.
今後の展開
構築した地盤ハザードデータベースの利便性を高めるため,GUI (グラフィカルユーザーインターフェース) で対話的に条件設定ができるシステムの構築を進める.また,本研究で整理した混濁流の物理的性質は,海底直流送電で使用されるケーブルの耐力評価に活用できる.
概要 (英文)
High potential areas for introducing renewable energies, including offshore wind power generation, are far from the areas with high electricity demand in Japan. In this situation, submarine direct-current (DC) power transmission is expected to be applied. Evaluating the submarine ground hazard for route selection of DC transmission is important. This report aims to summarize the hazards and compile a hazard database in the following steps: 1) We refer to examples of turbidity currents and landslides mainly caused by earthquakes that damaged fiber-optic submarine cables worldwide. Physical properties such as volume, moving distance, and velocity of the turbidity are also compiled. 2) We discuss the topographic characteristics of the submarine landslides and active faults by analyzing the seafloor topographic data around the southwest offshore of Hokkaido as a study case. Many submarine landslides are widely distributed on the steeply dipping side of the asymmetric anticline located in the hanging wall of the reverse faults. 3) We compile a 500 m mesh database of the distribution of submarine landslides and active faults around Japan. For the route selection of DC submarine cables, the risk of cable damage can be reduced by using our database in addition to the constraints of previously known water depths and social conditions.
報告書年度
2023
発行年月
2024/04
報告者
担当 | 氏名 | 所属 |
---|---|---|
主 |
高橋 秀暢 |
サステナブルシステム研究本部 地質・地下環境研究部門 |
共 |
青柳 恭平 |
サステナブルシステム研究本部 地質・地下環境研究部門 |
共 |
木村 治夫 |
サステナブルシステム研究本部 地質・地下環境研究部門 |
共 |
窪田 健二 |
サステナブルシステム研究本部 地質・地下環境研究部門 |
キーワード
和文 | 英文 |
---|---|
海底送電 | Submarine power transmission |
海底地すべり | Submarine landslide |
混濁流 | Turbidity current |
海底活断層 | Submarine active fault |
ハザードデータベース | Hazard database |