電力中央研究所

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電力中央研究所 報告書(電力中央研究所報告)

報告書データベース 詳細情報


報告書番号

SS23008

タイトル(和文)

洋上風力発電施設のO&M意思決定支援ツールの調査とメンテナンス方針最適化への試適用

タイトル(英文)

Review of O&M Decision-making Support Tools for Offshore Wind Farms and Application to Optimisation of Maintenance Strategies

概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)

背  景
 洋上風力発電所(Offshore Wind Farm, OWF)では、運用・保守(Operation and Maintenance, O&M)の方針を適切に決定する必要がある。特にどのようなメンテナンスを実施するかという方針(メンテナンス方針)の最適化は、OWFの寿命、停止期間、保守コストに直結するため、均等化発電原価(levelised cost of energy, LCOE)を左右する重要な意思決定である。その意思決定を支援するツール(O&M意思決定支援ツール)が欧米を中心に開発されてきているものの、国内での適用実績が乏しく、適用性等の知見の蓄積が求められる。

目  的
 O&Mに関わる要素を整理し、最適なO&M意思決定のためのフレームワークを構成する。また、OWFのメンテナンス方針最適化へのO&M意思決定支援ツールの適用に係る知見を取得する。

主な成果
1. 最適なO&M意思決定のためのフレームワークの構成
 O&M意思決定に関わるメンテナンス方針と要素モデルを中心に整理し、最適なO&M意思決定のためのフレームワークを構成した。種々のメンテナンス方針を、損傷後に対処する方針、損傷前に対処する方針、コスト合理化のための方針の3つに分類し、OWFのO&Mへの適用に向けての特徴をまとめた。また、O&M意思決定支援ツールにおいて考慮されるべき要素である時間スケール、意思決定者、参照データ、アクセシビリティ、作業リソースの5つについて、また、実装される要素モデルである損傷モデルと天候モデルの2つについてレビューし、これらの関係性を踏まえてフレームワークを構成した。

2.メンテナンス方針最適化の試検討
 米国で開発されたO&M意思決定支援ツールWOMBATにバグ修正等の改良を加え、国内に設定した仮想のOWFを対象にO&MコストおよびLCOEを試算した。他の文献での報告値と同等の値が得られたことから、改良したWOMBATの適用可能性を確認した。また、メンテナンス方針最適化の試検討のため、メンテナンス実施の条件を変えた感度分析を行った。総発電量、O&Mコスト、LCOEに対する感度を踏まえると、LCOEを最小化させる条件の推定が可能となることが示唆された。

今後の展開
 様々な損傷モデルや天候モデルをO&M意思決定支援ツールに実装し、実機での幅広いメンテナンス方針の最適化を可能にする。

概要 (英文)

Offshore wind farms have rapidly increased their capacity and electricity generation. Accordingly, optimised operation and maintenance has become of great interest among offshore wind farm operators. To minimise levelised cost of energy (LCOE), operators need to develop a maintenance strategy in advance. Many strategies and relevant models have been proposed, however, their classification differs among literature. This report reviews various maintenance strategies, damage models, and weather models and organises them in a framework for decision-making of operation and maintenance. Moreover, maintenance cost was calculated using WOMBAT for a model offshore wind farm. It is demonstrated that the calculated cost was consistent with the typical value in the existing wind farms. As a case study, sensitivity analysis on maintenance requests among electric generation, and cost was also performed. It implies the capability to the determination of the optimised maintenance strategy which minimises LCOE.

報告書年度

2023

発行年月

2024/03

報告者

担当氏名所属

鶴留 千晶

サステナブルシステム研究本部 気象・流体科学研究部門

瀧本 浩史

サステナブルシステム研究本部 気象・流体科学研究部門

高木 雅昭

グリッドイノベーション研究本部 ENIC研究部門

渡邊 保貴

サステナブルシステム研究本部 地質・地下環境研究部門

木原 直人

サステナブルシステム研究本部 気象・流体科学研究部門

キーワード

和文英文
洋上風力発電所 Offshore wind farm
運用・保守 Operation and maintenance
意思決定 Decision-making
天候モデル Weather model
損傷モデル Damage model
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