電力中央研究所 報告書(電力中央研究所報告)
報告書データベース 詳細情報
報告書番号
SS23007
タイトル(和文)
ドローンによるフォトグラメトリを活用した架空送電線下の接近木調査手法の開発
タイトル(英文)
Development of an efficient identification method for approaching trees toward overhead power lines by drone-based photogrammetry
概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)
背 景
多くの架空送電設備は山間部に立地し、電気事業者は航空機や地上からの定期的な測量を通じて設備と樹木の接近状況を監視し、必要に応じて設備保安のための伐採(保安伐採)を行っている。これまで当所は、従来の地上測量に代わる手法としてドローンによるフォトグラメトリを活用した離隔評価手法の開発に取り組んできた。保安伐採のためには、伐採対象木を特定する必要があるが、枝葉が繁茂していると空中から撮影した写真から幹の位置を検出することができず、伐採対象木を特定することが難しかった。
目 的
ドローンを用いたフォトグラメトリによって得られる点群を活用し、林冠の表面形状と架空送電設備との離隔距離から伐採対象木を特定する手法を開発する。
主な成果
1. 林冠形状に基づく樹頂検出手法の開発
樹木の表面形状から伐採対象木を抽出するため、スギ人工林の点群と国土地理院の数値標高から作製した林冠高モデルに局所最大(Local Maxima: LMX)フィルタを適用し、樹頂に相当するピークを検出した。検出精度は樹冠の大きさとフィルタサイズに依存し、検出した樹頂の正解率は樹冠投影範囲の半径と合致するLMXフィルタサイズで最大(85%)となった。この結果に基づいて、任意のフィルタサイズで検出した樹頂を閲覧出来る機能を既開発の離隔評価ツールに実装した。
2. 離隔評価結果の閲覧へのクラウドの活用
離隔距離や樹頂位置などの検討結果を総合的に判断し、伐採対象木の特定をより的確に行うためのワークフローを構築した。クラウドのPython描画機能により樹木の空撮画像に樹頂位置と離隔距離の分布を重ねて表示し、任意の位置のデータを提示することで、伐採対象木の特定に役立つことが示された。また、離隔評価の結果を3D地図プラットフォーム(バーチャル地球儀)に表示できることも確認した。この機能を活用することで点群や三次元モデルなどの3D地理空間コンテンツをPCやスマートフォンの標準機能で閲覧でき、実務者間での情報の共有と状況理解に役立つと考えられる。
今後の展開
スギ以外の樹種や多様な植栽の状況下で伐採対象木の特定精度を向上させる技術を開発し、ドローンによる接近木調査の実務化を加速する。
概要 (英文)
One method for identifying tree's crown to be felled is to analyze the forest canopy shape and the separation distance between powerlines and trees using drone-based photogrammetry. This involves applying a local maxima (LMX) filter to a canopy height model created from a point cloud. The accuracy of this method depends on the filter size used, with the number of tree tops detected decreasing as the filter size increases. A combination of several methods, such as watershed analysis or segmentation, is required to accurately detect trees, especially when forests are made up of trees with different crown projection areas. To facilitate sharing of the results of separation distance evaluation and crown identification, various data visualization methods using cloud systems were investigated. A Python-based visualization function on the cloud system allows for interactive comparison of the distribution of separation distance and canopy position overlaid on the aerial imagery showing the actual tree condition. In addition, the result of the separation distance evaluation can be displayed as 3D point clouds on geospatial mapping platform that is served as web service enabling browse with the standard function on PC or mobile device.
報告書年度
2023
発行年月
2024/02
報告者
担当 | 氏名 | 所属 |
---|---|---|
主 |
中屋 耕 |
サステナブルシステム研究本部 生物・環境化学研究部門 |
キーワード
和文 | 英文 |
---|---|
架空送電線 | Overhead power lines |
接近木 | Approaching trees |
フォトグラメトリ | Photogrammetry |
ドローン | Drones |
離隔 | Separation |