電力中央研究所 報告書(電力中央研究所報告)
報告書データベース 詳細情報
報告書番号
SS23004
タイトル(和文)
ケーブル波乗り現象の実大実験と解析手法の妥当性確認
タイトル(英文)
Actual size experiment and validation of numerical analysis method for surf-riding phenomenon
概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)
背 景
道路下に埋設された管路内の送電ケーブルが,道路上の車両通過に伴い主に車両進行方向に移動するケーブル波乗り現象が問題となっている.ケーブル波乗り現象が生じた場合,ケーブルの座屈やケーブル接続部の絶縁性能の低下などの影響が懸念されるため,その対策が必要になる.そこで当所はケーブル波乗り現象のメカニズムの解明を目的として,室内小型模型実験とその数値シミュレーション手法の開発を行った[1].しかし,室内小型模型実験では,実現場の敷設環境と異なる点もあり,開発手法の現場適用のためには実際のケーブルの敷設環境を模擬した実験を行って,数値シミュレーション手法の妥当性確認を行う必要がある.また,実務での地中加速度の計測が困難な場合を考えて数値シミュレーション手法の簡易化が必要である.
目 的
実ケーブルの敷設環境を模擬した実大実験を実施して,当所が開発した数値シミュレーション手法の妥当性を確認する.さらに,実務上簡易検討が可能な方法を開発する.
主な成果
1. 実ケーブルを用いた実大実験
ケーブルが地中に埋設されている道路構造を模擬した環境を構築し(図1),繰り返し車両を走行させた際のケーブルの移動量を計測した.この時,管路を2つ設置して片方の管路に防振材を巻く対策を施し,その影響について検討した.実験結果より,ケーブルは車両が通過する際にケーブルの進入側・進出側ともにその進行方向に移動することが確認され,防振材によりケーブルの挙動が抑制された.
2. 数値シミュレーション手法(簡易版)の開発
現場で地中加速度の計測が困難な場合を考えて入力加速度を計測することなく,ケーブル波乗り現象の簡易評価をするべく,道路交通振動の予測式を基に最大水平加速度を決定して,実大実験での水平加速度の計測結果から卓越周波数を求めて,正弦波で水平加速度を入力する簡易版の数値シミュレーション手法を開発した(図2).
3. 数値シミュレーション手法(詳細版,簡易版)の妥当性確認
開発した数値シミュレーション手法(詳細版,簡易版)を用いて,実大実験データの解析を実施した.ケーブルの変位には,防振材による抑制効果が表れるとともに概ね実験結果を再現できていることが分かった(図3).
今後の展開
本研究にて開発した解析方法を,実現場へ適用する.
概要 (英文)
The surf-riding phenomenon of underground transmission cables has been a worldwide problem since its identification. Although several evaluation methods have been developed so far, a definitive method is still unavailable. Therefore, the CRIEPI investigated the mechanism of surf-riding phenomenon by a small model test using IV cables. Certain problems of the model test, difficulty of measuring the acceleration on an actual site, etc., were observed. Then, we conducted an actual size experimental test, validated the detailed numerical simulation method developed earlier, and developed and validated the convenient simulation method without the measured acceleration as input data. Thereby, it was clarified that the cable moved in the direction of the vehicle. We also effectively simulated the experiment by a detailed simulation method developed earlier and a convenient model. In future, we should apply the developed evaluation method to an actual site.
報告書年度
2023
発行年月
2024/02
報告者
担当 | 氏名 | 所属 |
---|---|---|
主 |
吉田 泰基 |
サステナブルシステム研究本部 地質・地下環境研究部門 |
共 |
中村 邦彦 |
サステナブルシステム研究本部 地質・地下環境研究部門 |
共 |
岡田 哲実 |
サステナブルシステム研究本部 地質・地下環境研究部門 |
共 |
関口 陽 |
株式会社セレス 技術本部 |
キーワード
和文 | 英文 |
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地中送電線 | underground transmission line |
送電ケーブル | power transmission cable |
波乗り現象 | surf-riding phenomenon |
模型実験 | model test |
ばね質量系 | spring mass system |