電力中央研究所

報告書「電力中央研究所報告」は当研究所の研究成果を取りまとめた刊行物として、昭和28年より発行されております。 一部の報告書はPDF形式で全文をダウンロードすることができます。

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電力中央研究所 報告書(電力中央研究所報告)

報告書データベース 詳細情報


報告書番号

SS22014

タイトル(和文)

大気腐食モニタリングセンサによる付着塩分量測定法の誤差要因の分析と運用方法の提案

タイトル(英文)

Analysis of error factors and suggesting observation procedures for measuring deposited salt amount with an atmospheric corrosion monitoring sensor

概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)

背  景
流通設備における急速汚損や腐食の評価に関連し、主に沿岸域でソルトメータにより付着塩分量が計測されている。面的に広がりを有する設備形成に対応すべく、数値計算による付着塩分量マップも作成されている。しかし、(1)数値計算の検証データの取得、(2)台風等による急速汚損や雨洗の評価、(3)日射の有無や構造物の形状等の局所的条件、に対応するには数時間毎の連続かつ多地点での計測が必要であり、安価かつ設置・維持が容易な付着塩分量センサの開発が求められる。大気腐食モニタリング(ACM)センサを用いた既存手法では、測定値のばらつきが大きいため一日毎の代表値を推定するに留まっている。
目  的
既存のACMセンサを用いた付着塩分量測定法の誤差発生要因を把握し、精度及び時間分解能向上に向けて、推定方法を改善し運用方法を提案する。
主な成果
1. 誤差発生要因の分析
 日射の影響を受ける屋外試験において、塩害が顕著となる地域に相当する塩分量(0.5 g m−2)をセンサに付着させ、センサ出力、センサ表面温度、空気の温度・湿度を三か月間計測した。推定付着塩分量の主要な誤差発生要因として次の三点を把握した。①塩分を付着させたセンサの測定開始直後の出力急低下がセンサ出力特性に反映されていないため大幅な過小評価が生じる。②相対湿度の履歴効果により午前・午後でセンサ出力特性が一致しない。③日射による表面湿度の低下、高湿度条件での結露がそれぞれ過小、過大評価の要因である。
2.推定方法の改善と運用方法の提案
センサ出力特性のACM電流値に対し、補正係数を求め、大幅な過小評価を修正することで、推定付着塩分量の平均値の誤差を改善した。日射の影響については、センサ表面での相対湿度の補正により精度向上が図れるが、センサ出力の低下により日中の運用は困難である。このことを踏まえ運用方法として、相対湿度70%から90%かつ日射の強くない時間帯の条件を提案した。これにより、推定付着塩分量のばらつきを小さくするとともに、時間分解能を一日一回から夕方から朝にかけての複数回に改善した。
今後の展開
付着塩分量センサのさらなる精度向上、乾燥時期・日射の強い時間帯での計測に向けて、センサ表面の相対湿度を制御する機構を備えた小型センサの開発に取り組む。

概要 (英文)

A methodology of estimating amount of deposited sea salt with an atmospheric corrosion monitoring sensor has been developed, however its observation procedures are not studied enough. In this study, we analyze error factors of the estimation and suggest an appropriate operation method. The amount of deposited sea salt is estimated from relative humidity (Rh) and galvanic current with output characteristics of the sensor. As a result of an analysis of error factors, it is found that inaccuracy of output characteristics makes underestimation by one order. Deliquescence is affected by Rh hysteresis, and radiation makes difference between Rh in air and Rh on sensor surface. To solve these matters, output characteristics is compensated, and operational condition is suggested; 70% < Rh < 90% and 18 to 10 o'clock. As a result, error of average improves from 1010-1.12 to 10-0.02, 80 percentile width improves from 100.78 to 100.63 and sampling frequency improves from once a day to several times from evening to morning. For further improvement of estimation accuracy and temporal resolution, the sensor with unit controlling surface Rh is required.

報告書年度

2022

発行年月

2023/04

報告者

担当氏名所属

竹山 真央

サステナブルシステム研究本部 気象・流体科学研究部門

須藤 仁

サステナブルシステム研究本部 研究統括室

服部 康男

サステナブルシステム研究本部 気象・流体科学研究部門

キーワード

和文英文
付着塩分量 Deposited salt amount
日射 Solar radiation
大気腐食モニタリングセンサ Atmospheric corrosion monitoring sensor
表面相対湿度 Surface relative humidity
逆解析 Reverse analysis
Copyright (C) Central Research Institute of Electric Power Industry