電力中央研究所

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電力中央研究所 報告書(電力中央研究所報告)

報告書データベース 詳細情報


報告書番号

SS22008

タイトル(和文)

野生動植物に対する送電設備の影響と環境配慮策に関する文献・事例調査

タイトル(英文)

Review on Impacts and Mitigation Measures of Power Transmission Facility on Wildlife and Plant

概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)

背  景
送電設備の多くは自然環境の豊かな地点に敷設されており、送電事業者は地元自治体や専門家らと協議しながら野生動植物に対する環境配慮策を実施してきた。再生可能エネルギーの利用拡大に伴う送電網の増強や設備更新の増加に加え、SDGsなど環境への関心の高まりを受けて、これまで以上に多様な環境配慮策を検討する必要が生じると予想される。しかし、野生動植物に対する送電設備の影響と環境配慮策を体系的に整理した例は見られない。
目  的
送電設備が野生動植物に与える影響と環境配慮策に関する国内外の事例を整理し、今後国内に適用可能な取り組みを抽出する。
主な成果
1. 送電設備の野生動植物への影響と国内外における環境配慮策の整理
直近10~20年程度の国内外の文献やニュース記事をもとに、送電設備の建設や運用、管理に伴う野生動植物への影響と各影響に対する環境配慮策を整理した。
建設時は主に土地改変や工事騒音の影響が懸念されていた。海外では野生動植物の生息環境データベースなどを活用し、重要種の繁殖地等を回避するルートを選定することで影響を緩和していた。国内では植物の移植や動物の繁殖期に配慮した工期設定など、現地の実態を踏まえた環境配慮策を実施していた。
鉄塔・架渉線の影響としては、鳥類の衝突や感電事故の事例が多く、国内外で衝突防止用標識の設置などの環境配慮策が実施されていた。
線下の植生管理については、管理不足や外来種の侵入などによる草地の劣化と動物の移動阻害などが指摘されていた。それらの影響に対し、海外では、送電事業者が地元自治体や自然保護団体とパートナーシップを組み、生物多様性に配慮した線下植生管理を実施している事例があった。
2. 海外事例のうち日本に適用可能な環境配慮策の抽出
海外事例から野生動植物に関するデータベースの整備や自然保護団体とのパートナーシップの締結などが特徴的・先進的な事例として抽出された。データベースの整備による既存データの活用は、国内での条例・自主アセスの効率化に寄与すると考えられた。
今後の展開
効果的かつ効率的な環境配慮策を支援するため、国内の送電設備における影響評価および保全措置事例などのデータベースの整備に着手する。

概要 (英文)

Various environmental mitigation measures are implemented when constructing power transmission facility in Japan. The measures regarding wild animals and plants are often required by local governments and environmental experts. The proliferation of renewable energy leads to increase construction associated with power grid enhancement and that comes to situations in which environmental impacts should be mitigated. Because little review is available that systematically summarized environmental mitigation measures for overhead transmission lines, this report searched papers and articles regarding such impacts and measures published worldwide and identified advanced practices that are applicable in Japan. The impacts of land alteration during construction and bird striking and electrocution were commonly found. In successful cases in developed countries, transmission system operators have developed databases that accumulate the distribution and ecological trait data of endangered species for mitigation of these impacts and have monitored those species through partnerships with the l ocal nature conservation NPOs. The development of databases and the establishment of partnerships were extracted as keywords that distinguish these cases from those in Japan.

報告書年度

2022

発行年月

2023/02

報告者

担当氏名所属

小林 聡

サステナブルシステム研究本部 生物・環境化学研究部門

白井 正樹

サステナブルシステム研究本部 生物・環境化学研究部門

キーワード

和文英文
送電設備 Power transmission facility
野生動植物 Wild fauna and flora
環境アセスメント Environmental impact assessment
鳥類衝突 Bird collision
線下植生管理 Vegetation management under overhead transmission line
Copyright (C) Central Research Institute of Electric Power Industry