電力中央研究所

報告書「電力中央研究所報告」は当研究所の研究成果を取りまとめた刊行物として、昭和28年より発行されております。 一部の報告書はPDF形式で全文をダウンロードすることができます。

※ PDFのファイルサイズが大きい場合には、ダウンロードに時間がかかる場合がございます。 ダウンロードは1回のクリックで開始しますので、ダウンロードが完了するまで、複数回のクリックはなさらないようご注意願います。

電力中央研究所 報告書(電力中央研究所報告)

報告書データベース 詳細情報


報告書番号

SS22003

タイトル(和文)

小型無人航空機を活用した架空送電線の離隔評価手法の開発 -送電線の動的変位を考慮した離隔評価手法-

タイトル(英文)

Surveying technique to determine separation between overhead transmission lines and vegetation using a small drone. - Separation assessment considering dynamic swing of transmission line -

概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)

背  景
架空送電線と樹木等の離隔確認を頻繁に行う必要がある箇所では、昇塔を必要とせずオンサイトで高精度に離隔を評価できる技術が求められている。小型無人航空機(ドローン)による写真測量はその有力な選択肢である。当所はこれまでに民生用のドローンによる空撮画像からSfM注0F )処理によって生成した三次元情報(SfM点群)が離隔評価に十分な精度を備えているものの[1]、樹木や送電線のSfM点群の正確性が飛行・撮影条件によって変化することを明らかにした[2]。
目  的
SfM点群をドローン空撮によって高精度に取得するための飛行・撮影条件を整理するとともに、送電線の動的な変位を考慮して樹木との離隔を評価する手法を開発する。
主な成果
1. 高精度なSfM点群取得のための飛行・撮影条件整理
SfM処理によって樹木および送電線を精度良く再現するためには、径間に沿ったコの字型軌跡の1往復飛行で連続撮影された進行方向の画像間の重なり(オーバーラップ)が少なくとも75%以上かつ送電線直径に相当する解像度が必要である[1]。これらは、ドローンの高度や速度およびカメラの設定などで決まる。そこで、典型的な送電設備を対象に、民生用のドローンを用いてSfM処理に必要な条件を満たす飛行方法と、カメラの設定などをとりまとめた。
2. 送電線の動的な変位を考慮した離隔評価手法の開発
送電線と樹木の間の離隔をSfM点群に基づいて評価する手法を開発した。まず、仮想送電線を生成し、風等によって引き起こされる送電線の横振れに電圧に応じた規定離隔を加えることで、送電線の変位可能な範囲を規定離隔モデルとして定義した。規定離隔モデル下方の樹冠や構造物等の点群と仮想送電線の距離を評価対象とした。仮想送電線は、現況および最大潮流時等を想定した設計値の双方に対応する形状で生成可能である。開発した離隔評価ツールは、離隔データとしての点群や、伐採木特定に用いるための離隔の分布状況などを汎用ファイル形式として出力するため、特定のソフトウェア環境に依存せず柔軟に結果を活用できる。
今後の展開
現場適用を通して本手法の改善を行うとともに、SfM点群の更なる活用方策を検討し、送電設備保守の効率化に貢献する。

概要 (英文)

Local measurement is frequently required for the assessing the precise separation between overhead transmission lines and vegetation where the height of the transmission line is low. We derived the guidelines for taking photographs for accurate Structure from motion (SfM) processing using a commercially available low-cost small drone and a reliable method for evaluating the separation based on a numerical survey of the point cloud made by SfM.
Apart from photographing parameters, including resolution and focal length, percentages of overlap between a series of images profoundly influenced the accuracy and reproducibility of SfM results. These parameters can be controlled by setting the flight speed and height. Hence, we demonstrated a practical guideline to help determine the flight plan and photographing parameters for accurate SfM construction for typical transmission apparatus.
The newly developed method considers both the swing and slackness of transmission lines, as caused by cross wind and voltage level, and represents virtual transmission line curves, thereby generating the defined separation range. Further the virtual transmission line is drawn in its present condition as well as in its maximum dip condition. The distance required for separation is calculated as the height difference between the separation range and the original point cloud. Furthermore, we developed a GUI tool to output the results in general file format, enabling us to use the data for further analysis irrespective of the software environment.

報告書年度

2022

発行年月

2022/07

報告者

担当氏名所属

中屋 耕

サステナブルシステム研究本部 生物・環境化学研究部門

キーワード

和文英文
ドローン Drone
架空送電線 Overhead transmission line
離隔 Separation
植物 Vegetation
SfM Structure from motion
Copyright (C) Central Research Institute of Electric Power Industry