報告書番号

SS22002

タイトル（和文）

小型無人航空機を活用した架空送電線の離隔評価手法の開発 －精度におよぼす影響要因の評価－

タイトル（英文）

Surveying technique to determine separation between overhead transmission lines and trees using a small unmanned aerial vehicle. - Evaluation of influence factors affecting surveying accuracy -

概要 （図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております）

背　　景
架空送電線と周辺樹木の離隔を低コストで評価できる手法として、機動性に優れる小型無人航空機（UAV）によって空撮した画像を用いた三次元モデリング（SfM注 ））の活用が検討されている。これまでに、径間上を1往復飛行して撮影した複数の直下視画像から生成した三次元の点群によって、航空機レーザー測量と同程度の計測誤差で離隔を評価できることを明らかにした[1]。一方で、処理に用いる画像数が少ないと、精度が低下する可能性や送電線の一部が再現されない状況もみられた。離隔評価に本手法を適用するためには、精度や再現性が安定して維持できる条件を明らかにする必要がある。
目　　的
送電設備上空からのUAVによる撮影条件が点群の位置精度および送電線の再現性におよぼす影響を明らかにする。
主な成果
塔高約30mの訓練用送電設備1径間を対象に、カメラ搭載型小型UAV（Phantom4 pro）を異なる高度および速度で送電線の径間に沿ったコの字型の軌跡で1往復飛行させ、連続撮影した画像の重なり（オーバーラップ）および、被写体位置での画素の大きさを変化させて点群を生成し、以下を明らかにした。
1. 検証点による位置精度の評価
地上に設置した9点の検証点について点群から読み取った位置との平均平方二乗誤差を比較した結果、オーバーラップ70%以上の撮影条件であれば、水平方向、垂直方向それぞれで、0.03m、0.12m以下の誤差で計測できることがわかった。
2. 送電線の再現性におよぼす影響の評価
　送電線の点群を平面に投影してカテナリー曲線にあてはめるツールを作成し、再現性（ばらつき、径間に対する点群の再現率）を評価した。その結果、送電線の高さでのオーバーラップが85%以上かつサンプリング率注 ）が1を超える撮影条件の場合、、50%以上の再現率が期待でき、欠損した情報を精度良く補間できることがわかった。また、地表が枯草に覆われるなどの状況で送電線が背景と識別しにくい場合には、SfMの前処理としてコントラスト調整を行うことで送電線の再現性を向上させることができた。
今後の展開
三次元情報に基づく離隔表示手法を開発し、今回得られた適用条件と統合してUAVによる送電線と樹木との離隔評価手法を構築する。

概要 （英文）

Unmanned aerial vehicle (UAV) photogrammetry, which combines the UAV with 3D modeling software, has been considered as a low-cost technique for assessing the separation distances between trees and overhead transmission lines. However, the conditions of photogrammetry required to maintain measuring accuracy have not been evaluated, especially for corridor mapping of tall structures such as trees and overhead transmission lines. By changing the parameters of structure from motion (SfM), which are the overlap and the ground sampling distance (GSD) of images captured by a small UAV, the registration accuracy of nine check points and the reproducibility of transmission lines were investigated.
In corridor mapping by a round-trip flight of a small UAV, the horizontal and vertical accuracies of measurement were within 0.03m and 0.12m, respectively in condition of overlap beyond 70%. As for the reproducibility of transmission lines, the scatter and splitting of the point cloud were recognized. The scatter of the point cloud was converged and the splitting of the line was improved by increasing the overlap beyond 85% and the sampling ratio (wire diameter/GSD) beyond 1.0. Some image processing before the SfM process was effective for reproducing transmission lines.

報告者

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