電力中央研究所 報告書(電力中央研究所報告)
報告書データベース 詳細情報
報告書番号
R20004
タイトル(和文)
電流制御型インバータの系統サポート機能におけるハンチング抑制制御の開発-動的無効電流制御への適用に関する基礎検討-
タイトル(英文)
Development of Damping Control for Unstable Response of Advanced Control Functions Implemented in Grid Following Inverters - Fundamental Study of Application to Dynamic Reactive Current Control -
概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)
背 景
太陽光・風力などのインバータを介して系統に連系される再生可能エネルギー電源(再エネ電源)の導入拡大により同期発電機の並列容量が減少し,系統安定性が低下するおそれがある。その対策として,我が国では系統安定化のサポートを狙いとした様々な制御機能(系統サポート機能)を再エネ電源に付加することについて,議論が進められている。一方で,各種の系統サポート機能を電流制御型インバータに実装した場合,系統条件によっては同機能の制御応答が継続的に振動(ハンチング)することで,期待した系統サポート効果が得られないだけでなく,系統安定性等にも悪影響を及ぼした事例が報告されている。
目 的
電流制御型インバータに系統サポート機能を実装した場合のハンチング抑制対策の一種として,ハンチング抑制制御を開発する。また,ハンチング抑制制御を動的無効電流制御に適用した場合のY法シミュレーション解析により,その効果を検証する。
主な成果
1. ハンチング抑制制御の開発
インバータ自身による代表的なハンチング抑制対策として,制御ゲインの低減が挙げられる。しかしながら,制御ゲインの低減は系統サポート機能の制御量が減少することにより,ハンチングが発生していない場合の系統サポート効果は低下する。このようなトレードオフの関係を生じさせない対策として,インバータ自身の制御回路に適用可能なハンチング抑制制御を考案した(図1)。系統サポート機能によるハンチングは,出力された電流が系統インピーダンスに作用し,自端の電圧の大きさや位相を変化させることで生じるため,ハンチング抑制制御ではこの影響を補償する。ボード線図を用いた評価により,ハンチングの安定化に貢献するだけでなく(図2(a)),系統事故時の応答に重要となる高周波帯のゲイン特性を維持できるため,系統サポート効果が低下しないことを確認した(図2(b))。
2. Y法シミュレーション解析によるハンチング抑制制御の効果検証
簡易的なモデル系統において,ハンチング抑制制御を動的無効電流制御に適用した場合のY法シミュレーションを実施した(図3(a))。その結果,ボード線図による評価と同様に,ハンチングの安定化と系統サポート効果の両立が可能であることを確認した(図3(b))。また,ハンチング抑制制御は制御ゲインの低減と併用することもでき,その場合は系統サポート効果が低下するが,ハンチング抑制効果は向上する。
以上から,系統事故時の系統サポート機能を電流制御型インバータに実装する場合において,ハンチング抑制制御は有効なハンチング抑制対策となることが期待できる。
概要 (英文)
Conventional synchronous generators have been displaced with renewable energy (RE) source such as photovoltaics generation and wind turbine generation interconnected through inverters. As the capacity of synchronous generators interconnected to the power system decrease, the power system stability becomes gradually unstable. Therefore, these inverters may be required in grid-interconnection code to have some advanced control functions to support power system stabilization. On the other hand, it is known that the response of advanced control functions become unstable and oscillatory behavior depending on the power system conditions such as low short circuit capacity. As a result, not only the expected power system stabilization is not obtained, but also the power quality may be degraded. In order to improve the response of the advanced control functions, it is effective to reduce the control gain of the corresponding advanced control functions. However, the contribution to power system stability is also reduced as a result. In this study, a new damping control added to advanced control functions is developed that improves the response of the advanced control functions without reduction of the contribution to power system stability. As an example, the proposed damping control is added to dynamic reactive current control, and its effectiveness is verified by root-mean-square value time-domain simulation.
報告書年度
2020
発行年月
2021/06
報告者
担当 | 氏名 | 所属 |
---|---|---|
主 |
白崎 圭亮 |
システム技術研究所 電力システム領域 |
共 |
天野 博之 |
システム技術研究所 電力システム領域 |
キーワード
和文 | 英文 |
---|---|
太陽光発電 | Photovoltaics Generation |
風力発電 | Wind Turbine Generation |
系統事故 | Power System Fault |
動的無効電流制御 | Dynamic Reactive Current Control |
系統連系規程 | Grid-interconnection Code |