電力中央研究所

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電力中央研究所 報告書(電力中央研究所報告)

報告書データベース 詳細情報


報告書番号

R20002

タイトル(和文)

周波数品質の維持・向上と二次調整力①の運用コスト低減を両立する広域LFC手法の提案

タイトル(英文)

A Proposal of Cross Regional Load Frequency Control Method for Preservation / Improvement of Frequency Quality and Reduction of Frequency Control Cost

概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)

背  景
 わが国では二次調整力①(二次①)の広域運用の早期実現に向けて,各エリアの現状の負荷周波数制御(LFC)機能を活用した広域運用(現状活用案の広域LFC)が検討されている。平常時における調整力の広域運用の目的の一つに調整力の運用コストの低減が挙げられ,広域LFCにおいてもメリットオーダー(MO)1)の採用が求められている。一方,LFCをMOで行うことによる周波数品質低下の懸念が国内外で報告されている2)。

目  的
 周波数品質の維持・向上と二次①の運用コストの低減を両立する広域LFC手法を提案する。また,提案手法の有効性を,わが国の広域連系系統モデル3)を活用したシミュレーションにより検証する。

主な成果
1. 周波数品質の維持・向上とコスト低減を両立する広域LFC手法の提案
 現状活用案の広域LFCでは,地域要求量(AR)に二次①のエリア間融通量(補正量Z)を加算したAR(補正AR)を解消するように,各エリアでLFCを行う4)(図1)。補正量Zは,交流連系系統大でのARおよび既LFC動作量5)を各エリアへ配分した量から算出される6)。提案手法では,周波数品質の維持・向上と二次①の運用コスト低減を両立するため,ARと既LFC動作量を各エリアに以下の通り配分する(図2)。
・周波数偏差を早期に解消するため,ARをエリア毎の二次①の出力変化速度合計の比率で配分する。
・二次①の運用コストを低減するため,既LFC動作量を二次①の平均単価が優位なエリアから順に,出力変化速度を考慮した範囲で最大限配分する(簡易MO)。ただし,周波数品質を優先し,この配分可能範囲からはAR配分量を予め差し引く。

2. 周波数品質の維持・向上とコスト低減に対する提案手法の効果
 提案手法の広域LFCにより,周波数変動を現状と同等以上に抑制しつつ,発電コスト7)を低減できることをシミュレーションにより検証した(図3)。提案手法では,ARを応答性の高い二次①が比較的多いエリアにより多く配分するため,周波数品質の向上が期待できる。また, ARを解消するために発生した既LFC動作量を,二次①の平均単価が優位なエリアに持ち替えることにより,発電コストの低減が図れる。なお,簡易MOの課題として,経済性の高い二次①を多く有するエリアへの既LFC動作量の偏在が挙げられ,各エリアに二次①の余力を一定程度残しておく等の対策が必要と考えられる。

注1) 調整力の発動を単価が優位な順(上げ方向は安い順に,下げ方向は高い順)に行うこと。
2) 例えば以下の文献では,欧州各国においてLFCをMOで行った場合の検討例が示されている。
E-Bridge, “Impact of Merit Order activation of automatic Frequency Restoration Reserves and harmonized Full Activation Times”, 2016-2.
3) 徳光,天野:「全国10エリアの需給・周波数シミュレーションモデルの開発」,電力中央研究所報告R18003,2019-6.
4) 送配電網運用委員会:「二次調整力①広域運用の現状活用案の検討状況について」,第10回需給調整市場検討小委員会資料4,2019-3.
5) 当該時点における二次調整力①の発動量(kW)のこと。
6) 徳光,田村,天野:「二次調整力①の発動量低減と周波数品質の維持・向上を両立する広域LFC 制御方式の提案」,電力中央研究所報告R19004,2020-7.
7) ここでは,1日の総発電量に対するkWhコスト(発電量[kWh]×単価[¥/kWh]|の合計)を比較した。

概要 (英文)

In Japan, the load frequency control (LFC) is currently performed by each transmission system operator (TSO). However, to realize more efficient and economical operation of synchronized frequency restoration reserve (S-FRR, which is called aFRR in Europe), the introduction of the cross regional LFC (CRLFC) is discussed. In addition, a merit-order activation scheme will be implemented in LFC. However, it is reported that switching to a merit-order activation scheme may result in an increase frequency fluctuation.
In this report, we propose the CRLFC method to realize both the preservation / improvement of frequency quality and reduction of frequency control cost. The proposed method mainly consists of two steps. First, the sum of the area requirements (AR) of the participating TSOs is distributed to these TSOs on a pro-rata basis. Second, the sum of the S-FRR activations of the participating TSOs is distributed to these TSOs based on the merit-order activation scheme.
To validate the proposed method, we perform simulations using Japanese power system model for supply-demand and frequency analysis. The simulation results show that the proposed method can reduce both the frequency fluctuations and the frequency control cost than the current localized LFC by each TSO.

報告書年度

2020

発行年月

2021/04

報告者

担当氏名所属

徳光 啓太

システム技術研究所 電力システム領域

天野 博之

システム技術研究所 電力システム領域

キーワード

和文英文
周波数 Frequency
負荷周波数制御 Load frequency control
二次調整力① Synchronized frequency restoration reserve
広域運用 Cross-regional cooperation
シミュレーション Simulation
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