電力中央研究所 報告書(電力中央研究所報告)
報告書データベース 詳細情報
報告書番号
R18006
タイトル(和文)
変換器主体の系統を想定した変換器制御の提案―仮想インピーダンス制御―
タイトル(英文)
Converter Control Scheme for Converter-driven System - Virtual Impedance Control -
概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)
背 景
近年,再生可能エネルギーの導入拡大に伴い電力系統の同期機の並列容量が減少しつつあり,変換器が系統主体となった場合の系統安定性が懸念されている。この対策のひとつとして,変換器制御で同期機の特性の一部を模擬し,変換器の挙動を同期機に近づける仮想同期機が提案されている。しかしながら,仮想同期機は従来の電流ベクトル制御との乖離が大きく,変換器自身の脱調や変換器の電流リミッタが動作しやすい等の懸念がある。
目 的
上記の課題に対応可能な変換器制御手法を提案し,その効果をシミュレーションにより検証する。
主な成果
1.仮想インピーダンス制御の提案
既存の仮想同期機のインピーダンスモデルと従来の電流ベクトル制御を組み合わせた,仮想インピーダンス制御を考案した。仮想同期機と本手法のブロック図を図1,2に示す。本手法は,変換器と並列に電圧源とインピーダンスが接続されているものとし,系統側に追加で電流を注入する制御である(図3)。本手法は,端子電圧の大きさや位相の変化を妨げるように動作するため,仮想同期機同様に系統擾乱時の電圧,位相,周波数安定性への貢献が期待される上,以下のメリットがある。
①従来制御(電流ベクトル制御)にインピーダンスモデルのブロックを追加するだけなので,従来手法との親和性が高い。
②脱調が発生しない。
③仮想インピーダンスの調整により,注入する電流量の調整が可能なため,電流リミッタが動作しやすい問題を解消できる。
2. 瞬時値シミュレーションによる有効性検証
図4の系統を用いてXTAPを用いた瞬時値シミュレーションにより本手法の有効性を検証した。仮想同期機では,事故継続時間を延長した場合脱調するが,本手法では脱調しない(図5)。また,図6に本手法で仮想インピーダンスを大きくした場合の解析波形を示す。図より,仮想インピーダンスを大きくすることで,電流ベクトル制御に近づくことを確認した。また,仮想同期機同様,系統周波数変動時に本手法は周波数変動を妨げる方向に電力を出力することも,電源脱落時の解析により確認した。
概要 (英文)
The amount of renewable energy connected to grid through inverter has been growing. The power system will become unstable if the amount of renewable energy becomes larger. There is an idea that control inverter like synchronous generator which is called virtual synchronous generator (VSG) or virtual inertia. However, VSG has problems such as step out as with existing synchronous generators.
We developed a novel control scheme for converter. The developed control scheme is easy to add to existing vector current control and can operate without step out during fault condition. We verified performance of the control through transient simulation. The converter with the proposed control can maintain stable operation without step out during entire fault.
報告書年度
2018
発行年月
2019/10
報告者
担当 | 氏名 | 所属 |
---|---|---|
主 |
菊間 俊明 |
システム技術研究所 電力システム領域 |
キーワード
和文 | 英文 |
---|---|
変換器 | Converter |
仮想同期機 | Virtual synchronous generator |
系統安定性 | System Stability |
パワーエレクトロニクス | Power electronics |