電力中央研究所 報告書(電力中央研究所報告)
報告書データベース 詳細情報
報告書番号
R18005
タイトル(和文)
IP保護リレー情報のマイクロ波無線回線への収容方式の開発-中継時の伝送遅延時間低減手法の提案と評価-
タイトル(英文)
Development of an accommodation method of IP-based Power Line Protection System Information for microwave communication systems -A proposal of transmission delay time reduction method in a relay station and its evaluation-
概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)
背 景
高い信頼性を有する電力用マイクロ波無線ネットワークは,基幹系統のPCMキャリヤリレーシステムの通信に用いられている。近年は,系統監視制御システムにおいてもIP系技術の導入が推進されている。しかし,中継時にイーサネットフレームを再生する再生中継機能1)を用いる場合,IP系技術を適用したPCMキャリヤリレー情報(以下,IP系情報)に対する伝送遅延時間要件を満足させようとすると,マイクロ波無線回線へは効率的な収容ができない。マイクロ波無線回線でIP系情報を効率的に伝送するには,再生中継により発生する伝送遅延時間を抑制する必要がある。
目 的
マイクロ波無線回線において,IP系情報伝送における中継時の伝送遅延時間を低減する手法を提案する。また,提案手法を備えた無線機を試作・評価し,その結果からPCMキャリヤリレーシステムの収容可能数を試算する。
主な成果
1. 中継時の伝送遅延時間低減手法の提案
無線フレーム内のビット列を,イーサネットフレームへ再生せず,そのまま中継することにより伝送遅延時間を低減する手法(以下,非再生中継機能)を提案した(図1)。本手法は,以下の特徴を有する。
既存無線機の構成を大幅に変更する必要が無いように,電力用規格D 208が規定する6.312 Mbpsインタフェースを中継に利用した。
中継区間単位でのマルチベンダ化が可能となるように,中継用フレームとして,JT G7042)に規定されている6.312 Mbpsフレームを適用した。
2. 非再生中継機能を実装した試作無線機を用いた評価
非再生中継機能を実装した無線機を試作し,図2の構成にて伝送遅延時間を測定した。その結果,IP系情報のフレームサイズが128 Byteで,回線帯域6.144 Mbpsのとき,再生中継機能と比べて,伝送遅延時間を約31 %低減できた(図3)。
3. 非再生中継機能適用時におけるPCMキャリヤリレーシステムの収容可能数の試算
伝送遅延時間の観点から,非再生中継機能を適用した場合のマイクロ波無線ネットワークへの収容可能数について,PCMキャリヤリレーシステムの標準モデル3)(4中継5スパン・伝送路長250 km)を用いて試算した。その結果,表1に示すように,フレームサイズ128 Byteのとき,再生中継機能を利用した場合は2システムであったのに対し,非再生中継機能を利用した場合には5システムまで収容可能となった。
今後の展開
IP系情報をマイクロ波無線ネットワークで伝送する際には,伝送遅延時間変動への対策4)も必要となる。このため,伝送遅延時間変動への対策と非再生中継機能を組み合わせた総合評価を実施し,PCMキャリヤリレーシステムへのIP系技術適用を可能とする。
概要 (英文)
At present, technical investigation on power monitoring, protection and control systems are headed for IP technology to improve their performance and reduce costs. There are needs to realize microwave radio communication system that accommodates to IP-based power line protection system. To efficiently transmit the IP system information in the microwave radio, it is necessary to suppress the transmission delay time that occurs when the radio signal is converted into the Ethernet frame and relayed.
In this report, we propose a method to transmit wireless signals without converting them to Ethernet frames in order to reduce the transmission delay time. And we evaluated the method. As a result, using our method, we can reduce the transmission delay time by about 31%.
報告書年度
2018
発行年月
2020/05
報告者
担当 | 氏名 | 所属 |
---|---|---|
主 |
小久保 翔太 |
システム技術研究所 通信システム領域 |
共 |
大場 英二 |
システム技術研究所 |
共 |
田中 彰浩 |
システム技術研究所 通信システム領域 |
共 |
芹澤 善積 |
電力中央研究所 |
キーワード
和文 | 英文 |
---|---|
電力用通信 | Power System Communication |
PCM | Pulse Code Modulation |
イーサネット | Ethernet |
D-208 | D-208 |