電力中央研究所 報告書(電力中央研究所報告)
報告書データベース 詳細情報
報告書番号
R17007
タイトル(和文)
系統擾乱時の過電流を抑制可能な変換器の仮想同期発電機制御
タイトル(英文)
Current Control Scheme of Virtual Synchronous Generator for Converter in Fault Condition
概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)
背景
近年,再生可能エネルギーの導入拡大に伴い電力系統の同期発電機(以下,同期機)の並列容量が減少しつつあり,系統の安定性に及ぼす影響が懸念されている。この対策のひとつとして,変換器に同期機の特性を付与し,変換器の挙動を同期機に近づける仮想同期発電機(以下,仮想同期機)制御が提案されている。しかしながら,仮想同期機は,同期機同様に電圧制御を実施しているため系統擾乱時に変換器が過電流で停止する恐れがある。
目的
系統擾乱時に過電流抑制が可能な仮想同期機制御を提案し,提案制御の有効性をシミュレーションにより検証する。
主な成果
1. 系統擾乱時に過電流抑制可能な仮想同期機制御の提案
系統電圧ベクトルと変換器出力電圧ベクトルの差を小さくすることで変換器の過電流を抑制できることに着目し,両者の差を一定値以内とすることで過電流を抑制する仮想同期機制御を提案する。具体的には,仮想同期機電圧指令値ベクトルと系統電圧ベクトルの差が大きい場合に,変換器出力電圧ベクトルが系統電圧ベクトルに近くなるように,過電流抑制用の補整電圧ベクトルを加える制御である。提案制御を用いることで系統擾乱時でも電流制御に切り替える必要がなく,変換器制御を電圧制御のまま運転継続することが可能となる。
2. 瞬時値シミュレーションによる提案制御の有効性検証
瞬時値シミュレーションにより提案制御の有効性を検証した。提案制御不使用の場合,事故時に過大な電流が流れるのに対し,提案制御を使用した場合,系統擾乱時の過電流抑制が達成されていることがわかる。2相地絡でも過電流抑制効果を確認した。
なお,仮想同期機および提案制御が系統の安定性に与える影響については別途検討の必要がある。
概要 (英文)
The amount of renewable energy connected to grid through inverter has been growing. The power system will become unstable if the amount of renewable energy becomes larger. There is an idea that control inverter like synchronous generator which is called virtual synchronous generator (VSG). VSG has concern about overcurrent when the AC fault occurs near the VSG system because of its voltage source characteristics. To solve this problem, we developed a novel control scheme for the VSG. The developed control scheme for VSG can reduce the fault current from the converter. We verified performance of the control through transient simulation. VSG with the proposed control can maintain stable operation without overcurrent during entire fault.
報告書年度
2017
発行年月
2018/11
報告者
担当 | 氏名 | 所属 |
---|---|---|
主 |
菊間 俊明 |
システム技術研究所 電力システム領域 |
キーワード
和文 | 英文 |
---|---|
変換器 | Converter |
仮想同期機 | Virtual synchronous generator |
事故保護 | Fault protection |
パワーエレクトロニクス | Power electronics |