電力中央研究所

報告書「電力中央研究所報告」は当研究所の研究成果を取りまとめた刊行物として、昭和28年より発行されております。 一部の報告書はPDF形式で全文をダウンロードすることができます。

※ PDFのファイルサイズが大きい場合には、ダウンロードに時間がかかる場合がございます。 ダウンロードは1回のクリックで開始しますので、ダウンロードが完了するまで、複数回のクリックはなさらないようご注意願います。

電力中央研究所 報告書(電力中央研究所報告)

報告書データベース 詳細情報


報告書番号

R17004

タイトル(和文)

PV大量導入が大電源脱落時の周波数低下に及ぼす影響

タイトル(英文)

Fundamental Impacts of High Penetration of Photovoltaics Generation on RoCoF and Frequency Nadir in Large Generation Tripping

概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)

背 景
太陽光発電(PV)の導入拡大に伴い電力系統の同期発電機(発電機)の並列容量が減少しつつあり,系統の慣性の減少等が系統事故時の周波数変動に及ぼす影響への懸念が高まっている。また,大電源脱落事故時はPV用パワーコンディショナ(PCS)に備わる単独運転検出機能の受動的方式が不要動作してPV脱落が誘発され,周波数低下が助長される場合があること等も課題となっている。

目 的
Y法シミュレーション解析により,PV大量導入時に大電源脱落が発生した場合について,周波数低下に影響を及ぼす主な要因及びそれらの相互関係を明らかにする。また,想定される各種の周波数安定化対策とその効果について整理する。

主な成果
1. 大電源脱落時の周波数低下に影響を及ぼす主な要因と相互関係
電気学会WEST10機系統モデルを用いた解析により,PV大量導入に伴う発電機の並列容量の減少とPCSの単独運転検出機能の応動が大電源脱落時の周波数低下に及ぼす影響とそれらの相互関係を明らかにした。シミュレーションにより確認された留意点は以下の通り。
〇系統の慣性・同期化力が減少すると電源脱落直後の周波数変化率(|df/dt|)が増大する。これによりPV脱落が助長されるとともに,周波数の最下点(fmin)に達するまでの時間が減少してガバナフリー(GF)の効果が減少するため,fminが低下する。
〇現状と同程度のGF容量を確保できたとしても,系統の慣性・同期化力の減少により,|df/dt|の増大は避けられず,fminは低下する。
〇FRT(Fault Ride Through)要件を満たしたPCSの周波数フィードバック機能の無効電力注入と負荷の電圧特性の影響により|df/dt|が増大するためFRT非対応機種のPV脱落が助長され,fminが低下する。
2. 各種の周波数安定化対策とその効果
PV大量導入時に想定される各種の周波数安定化対策とその効果等を整理した。発電機並列容量の確保により|df/dt|およびfminの悪化を緩和できるが,PVの出力抑制を低減するため発電機並列容量が減少する場合には,コンバータ機器による高速なGF・慣性応答を模擬した制御やPCSの設定値変更等の各種対策を適切に組み合わせることが重要と考えられる。

概要 (英文)

In recent years, conventional synchronous generators have been displaced with renewable energy sources such as photovoltaics generation (PV). There is concern that the decommitment of the synchronous generators due to the high penetration of the non-synchronous generators has negative impacts on the frequency stability. As the capacity of the on-line synchronous generators decreases, the Rate of Change of Frequency (RoCoF) and the frequency nadir following a sudden large generation tripping would become more severe. In this report, the impacts of the reduced system inertia, primary reserve, and synchronizing torque on the frequency stability in a large generation tripping are examined using IEEJ WEST 10-machine System Model. It is also revealed that the reactive power injection from the grid-connected converter due to the active islanding detection function would adversely affect the frequency response. Furthermore, several countermeasures against the frequency stability deterioration and their effects are reviewed including the synthetic inertial response from converters.

報告書年度

2017

発行年月

2018/06

報告者

担当氏名所属

白崎 圭亮

システム技術研究所 電力システム領域

天野 博之

システム技術研究所 電力システム領域

前山 慎一郎

システム技術研究所 電力システム領域

キーワード

和文英文
周波数安定性 Frequency Stability
太陽光発電 Photoviltaics Generation
FRT要件 Fault Ride Through Requirements
単独運転検出機能 Islanding Detection Function
PV脱落 Secondary PV Trip
Copyright (C) Central Research Institute of Electric Power Industry