電力中央研究所 報告書(電力中央研究所報告)
報告書データベース 詳細情報
報告書番号
R16001
タイトル(和文)
スマートグリッド用通信を統合するプラットフォームの実用性評価 -XMPPの適用性-
タイトル(英文)
A Feasibility Evaluation of Smart Grid Communication Platform - Applicability of XMPP -
概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)
背 景
配電系統や需要家機器の監視制御やデマンドレスポンス(DR1)) のアプリケーシ ョンに利用される通信(以下、スマートグリッド用通信)には、異なる規格(IEC 61850、OpenADR、IEC 62056)が定められており、現在のままでは相互連携が難しい。これに対し、各規格に対応しつつデータに遠隔からアクセスするための共通API2)と、そのデータ伝送用通信プロトコルとしての XMPP3)を備える仕組み(以下、通信プラットフォーム)をこれまでに提案した 4)。実用的な通信プラットフォームの開発には、実験システムの構築を通じた機能と性能の評価が必要である。
目 的
通信プラットフォームの実験システムを構築し、これを用いて通信プラットフォ ームの機能を確認する。さらに、通信プラットフォームを利用した場合の処理時間と通信量を測定し、XMPP を用いた通信プラットフォームの実用性を明らかにする。
主な成果
1.通信プラットフォームの実験システムの構築と機能確認
アプリケーションプログラムから指定されたデータ伝送の内容に応じて、適切にXMPP メッセージを組み立てる処理を、いずれの規格においても統一的に実行できる共通 API を開発した。この共通 API とアプリケーションプログラム(配電自動化親局・子局等)を組み込んだ実験システムを構築した(図 1)。本実験システムは、コンピュータ 3 台から構成され、そのうち 2 台は通信プラットフォームを搭載しXMPP クライアント C1・C2 として、残り 1 台は C1 と C2 を仲介する XMPP サーバS として動作する。さらに、アプリケーションプログラムを用いて表 1 に示す通信の実験を行い、通信プラットフォームが正常に動作することを確認した。
2.実験システムを用いた性能測定に基づく通信プラットフォームの実用性評価
スマートグリッド用通信では、配電自動化親局と子局の間で 1 秒間に 1 回データを伝送する通信が最も厳しい遅延時間要件を有するとして、その値を 1 秒と設定した。この通信の性能を測定し、通信プラットフォームの実用性を評価した。
(1)通信プラットフォームにおける処理時間に関する評価
本実験システムにおける実験対象に関する処理時間を、他の通信の有り・無しの場合について測定した結果、0.3 秒から 0.7 秒程度であった(表 2)。このことから、許容遅延時間を 1 秒とした場合、通信性能としては、汎用のコンピュータレベルの装置をフィーダや需要家側の送受信端(子局等)に用いても、その要件を満たせる見込みを得た。
(2)通信プラットフォームによる通信速度に関する評価表 2 に示した結果から、許容遅延時間(1 秒)を満足できる通信速度を算出した。この結果から、遅延時間に厳しい通信に用いる伝送路については、1 回線あたり 100 kbps 程度確保すれば良いと考えられる。
以上より、XMPP を用いた通信プラットフォームが実用性を有することを確認した。
注 1)Demand Response。
2)Application Programming Interface。
3)Extensible Messaging and Presence Protocol。XML ベースのメッセージを備えたプロトコルであり、イン
ターネットにおけるチャット等で利用されている。通信端末は XMPP クライアントとなり、XMPP サーバを介して他の XMPP クライアントと通信できる。
4)大谷・奥野:「配電系統・需要家エリアの電力用通信プラットフォームに対する要件整理とプロトコル選択」、電力中央研究所調査報告 R13010(2014)
概要 (英文)
We build a platform which involves common application programming interface (API) and integrates smart grid communication processing for IEC 61850, Open ADR and IEC 62056 over XMPP. An experimental system was constructed with the platform and composed of three computers. Two of them were XMMP clients and the remainder was XMPP server. The XMPP clients were installed with the platform. We examined the functionality of communications for applications of distribution network automation, energy management, demand response and advance metering and confirmed feasibility of our platform. The performance evaluation of the platform was also conducted and the communication processing times and data lengths with IEC 61850 (MMS), OpenADR and IEC 62056 (COSEM) over XMPP were measured. The results show the applicability of common API and XMPP for the smart grid communications. We also examined the real-time characteristics for smart grid communication for distribution network automation to confirm the applicability of the platform with generic computer equipment and communication line for equipment of distribution feeder and customers.
報告書年度
2016
発行年月
2017/10
報告者
担当 | 氏名 | 所属 |
---|---|---|
主 |
遊佐 博幸 |
システム技術研究所 通信システム領域 |
共 |
辺見 宏幸 |
株式会社明電舎 |
共 |
大谷 哲夫 |
システム技術研究所 通信システム領域 |
共 |
新井 裕 |
株式会社明電舎 |
協 |
大場 英二 |
システム技術研究所 通信システム領域 |
キーワード
和文 | 英文 |
---|---|
国際規格 | International standard |
XMPP | XMPP |
配電自動化 | Distribution automation |
デマンドレスポンス | Demand response |
AMI | Advanced metering infrastructure |