電力中央研究所

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電力中央研究所 報告書(電力中央研究所報告)

報告書データベース 詳細情報


報告書番号

R11035

タイトル(和文)

太陽光発電自立運転時の特性評価

タイトル(英文)

Evaluation on Characteristic for Standalone Operation of Photovoltaic Generation System

概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)

東日本大震災をうけて、系統停電時における太陽光発電のパワーコンディショナ(PCS)の自立運転コンセントを利用した電力供給に注目が集まっている。自立運転においては、与えられる日射強度と負荷の条件下で、最大限安定性と安全性を確保して運転することが望まれるが、これらの特性は十分に明らかにされていない。停電時の利用拡大と安全性確保のためには、これらの特性を定量的に把握し、改良点を明らかにする必要がある。このため、市販されている5機種の国内製PCSを対象に、11種類の家電機器を用いた自立運転時の安定性と安全性についての試験を行い、以下を明らかにした。
(1) 安定性試験:日射強度低下等により供給電力が不足状態になっても運転を継続する機種(2機種)が存在する。また、電子レンジ等、電流歪みの比較的大きい負荷を動作させると、3機種は総合電圧歪み率が10%以上となり、うち1機種は運転継続できない。 負荷起動時の安定性については、全体的に、白熱電球等の突入電流のある負荷において、日射強度がその負荷の定常運転に対しては十分であっても、突入電流による短時間の直流電圧低下により起動不能となる場合がある。これは、PCSの直流部にコンデンサを並列接続する方法で改善できる。以上により、自立運転時の電力品質指針の策定と、それに基づくPCSの改善が望まれる。
(2) 安全性試験:トランスレス形3機種、高周波絶縁トランス形1機種を対象に、直流側・交流側地絡時の保護試験を行った結果、すべてのPCSで、片側で地絡が発生しても、PCSは停止せず、地絡状態で運転を継続した。また、両側で地絡した場合も運転を継続した。トランスレス形PCSでは、感電に至る可能性があるため、対策として、市販の漏電遮断器による効果を検証したが、地絡電流に直流分が重畳し、不動作となるケースも存在した。今後、自立運転時にトランスレス形PCSに地絡保護機能を求めるとともに、直流分の重畳を考慮した自立運転時の地絡保護に関わる基準や規格の整備が必要と判断される。

概要 (英文)

After East Japan earthquake, interest in stand alone operation of photovoltaic generation system which uses standalone outlet of power conditioning subsystem (PCS) is being enhanced as emergency power supply. In case of standalone operation, steady and safety operation are required in any solar irradiance and load condition. However, there are few matters which deal with standalone operation characteristic. We carried out examinations of standalone operation of five domestic PCSs using electric appliances. In case of steady standalone operation, output frequency of every PCS was within nominal frequency (50Hz) in any operation condition. Output voltage drops were observed at low solar irradiance in two PCSs, while voltage fluctuation was observed at low solar irradiance in one PCS.
Inrush current prevented operating in every PCS when light bulbs were used as loads. Additional parallel capacitor to DC input of PCS was effective for the improvement. Three PCSs exceeded limit of harmonic voltage distortion when loads having high power inverter such as microwave oven, cleaner, and air conditioner were connected. One PCS could not continue operation with microwave oven.
We also carried out ground fault test. PCS without isolation transformer could not stop the operation when ground fault occurred at both DC line and AC line. Addition of earth leakage circuit breaker to standalone circuit tended to be effective to prevent the AC leakage. However standard detection method of leakage is required.

報告書年度

2011

発行年月

2013/02

報告者

担当氏名所属

浅利 真宏

システム技術研究所 需要家システム領域

高木 道夫

システム技術研究所 需要家システム領域

小林 広武

システム技術研究所 需要家システム領域

キーワード

和文英文
太陽光発電 Photovoltaic Generation
パワーコンディショナ Power Conditioning Subsystem
自立運転 Standalone Operation
事故保護 Fault Protection
電力品質 Power Quality
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