電力中央研究所 報告書(電力中央研究所報告)
報告書データベース 詳細情報
報告書番号
R07014
タイトル(和文)
分散形電源による自立運用の成立性-分散形電源需給運用解析プログラムの開発とコスト面からの検討-
タイトル(英文)
Study of Requirements for Grid-Independent Operation by use of Distributed Generations - Development of Analysis Program and Cost Consideration -
概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)
近年では、環境問題への対応や省エネルギーのニーズに伴い、自然エネルギーやコジェネレーションなど分散形電源の導入が進んでいる。特に自然エネルギー発電には、二酸化炭素排出量の削減やエネルギーセキュリティの観点からも期待が持たれているが、太陽光発電や風力発電など自然エネルギー発電は出力変動を伴うため、その導入量の拡大には、電圧変動抑制など電力品質面での対策が必要である。
分散形電源の導入拡大時に、既存の電力系統に対して電力品質面で極力影響を与えない運用方法として、分散形電源や電力貯蔵装置を小規模系統(グリッド)として運用することにより出力の安定化を図るマイクログリッドが国内外で注目されている。マイクログリッドなど分散形電源自立運転の成立性を評価するためには、技術面とコスト面から評価を行う必要がある。これまで、技術面ではマイクログリッドの実証プロジェクトも複数行われているが、コスト面からの検討は十分には行われていない。
本報告では、分散形電源による自立運転の成立性を主にコスト面から評価するため、分散形電源需給運用解析プログラムを開発した。さらに、本プログラムを用いて、配電フィーダ単位で分散形電源の自立運用を行う場合の必要設備容量と電力コストについて検討した。検討の結果を以下にまとめる。
(1) ガスエンジン発電や太陽光発電を用いた自立運用では、系統電力と比較して電力コストが増加することを示した。また、ガスエンジン発電により自立運用する場合はCO2排出量が増加する結果となった。ガスエンジン発電と太陽光発電を併用することにより、CO2排出量の増加を抑制できるが、電力コストは上昇する結果となった。
(2) 需要地域(住宅地域、商業地域、混在地域)による電力コストの比較を行った結果、いずれの地域もほぼ同様の結果となったが、ガスエンジン発電による自立運用では負荷の変化が小さい混在地域の電力コストが最も安くなり、太陽光発電による自立運用では昼間の負荷が大きい商業地域の電力コストが最も安くなった。
(3) 将来的な価格の低下や設備寿命の延長を考慮しても、太陽光発電システムによる自立運用は、系統電力やガスエンジン発電よりも高コストとなった。
(4) リチウム二次電池を用いて、現状の鉛蓄電池とほぼ同等のコストで太陽光発電システムの自立運用を行うためには、リチウム二次電池寿命8年の場合は5万円/kWh以下、リチウム二次電池寿命16年の場合は10万円/kWh以下の単価とする必要があることを示した。
(5) ガスエンジン発電と太陽光発電の組合せによる自立運用をコスト面で成立させるには、太陽光発電の設備単価を20万円/kW以下とする必要があることを示した。
概要 (英文)
In recent years, installed capacity of distributed generation including renewable generation is increasing. When the capacity of renewable generations, such as photovoltaic and wind turbine, is increased, power quality problems will occur because of reverse power flow. To maintain power quality of the power system, microgrid with grid-independent operation is proposed. Technical studies for the microgrid are carried out but cost of the microgrid is not considered enough. To evaluate the possibility of the microgrid, consideration about scale and cost is necessary. In this paper, "Demand and Supply Calculation Program" is developed to calculate scale and cost of energy demand and supply with distributed generations, loads and batteries. Then, installed capacity and cost of distributed generators, which are operated grid-independently, are considered. And, distributed generations such as photovoltaic and gas engine generation are compared with commercial electric power. Next, the cost of the microgrid is considered by use of the future cost and life of the photovoltaic and the battery. In addition, the cost of photovoltaic system with lithium ion batteries are considered.
報告書年度
2007
発行年月
2008/06
報告者
担当 | 氏名 | 所属 |
---|---|---|
主 |
八太 啓行 |
システム技術研究所 需要家システム領域 |
共 |
小林 広武 |
システム技術研究所 需要家システム領域 |
キーワード
和文 | 英文 |
---|---|
分散形電源 | Distributed Power Generation |
需給運用解析 | Demand Supply Calculation |
自立運転 | Grid-Independent Operation |
太陽光発電 | Photo Voltaic Generator |
ガスエンジン発電 | Gas Engine Generator |