電力中央研究所 報告書(電力中央研究所報告)
報告書データベース 詳細情報
報告書番号
Q19004
タイトル(和文)
連続配管要素体系で発生する旋回流が及ぼす減肉挙動への影響
タイトル(英文)
Effect of Pipe Wall Thinning on Swirling Flow Generated in Contiguous Element of Piping
概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)
背 景
原子力・火力発電プラントの運用・管理において、配管減肉は重要な問題であり、大口径配管の大規模破断の可能性がある流れ加速型腐食(FAC、Flow-Accelerated Corrosion)に対しては、特に注意が必要である。過去に実機プラントで発生したFACによる配管破損事象注1)では、配管レイアウトに起因する旋回流がオリフィス下流の減肉挙動に影響を与えた可能性が指摘されている。当所で開発を進めている減肉予測ソフトウェアFALSET[1]には、この旋回流影響を考慮可能な旋回流影響モデルが搭載されているが、現行モデルでは実機に見られる多様な配管レイアウトへの対応は必ずしも十分ではなく、条件によっては過度に保守的な評価結果を与える可能性がある。そのため、多様な配管レイアウトにおける旋回流の挙動と局所的な減肉挙動の相関関係を評価する必要がある。
目 的
旋回流挙動を特徴付ける配管形状パラメータに基づいた数値流動解析により、減肉挙動に対する旋回流影響のメカニズムを検討した上で、旋回流と減肉挙動の相関関係を評価する。さらに、得られた結果を踏まえて旋回流影響モデルを新たに提案する。
主な成果
1. 減肉挙動に対する基本的な旋回流影響のメカニズム検討
旋回流が配管減肉に与える影響のメカニズムを検討するため、直管とオリフィスのみで構成された単純体系において理想的な旋回流を入口境界条件として与え、オリフィス下流の減肉挙動を数値流動解析により調べた。その結果、スワール数Sw注2)の増加とともにオリフィス下流の高速な流れが管壁面に衝突し(図1(a))、その衝突部で流速や流れの乱れが増加することで減肉傾向が増大することが示された(図1(b))。
2. 連続配管要素体系における流動場と減肉挙動評価
実機の配管レイアウト上、配管分岐部とエルボが連続することで旋回流を生じやすい体系において数値流動解析を実施した結果、エルボの曲げ と向きによりエルボ下流での流れ場が変化することで、Swが変化することが明らかとなった(表1)。また、各条件での減肉評価結果から、Swの増加に伴って形状係数Geo注3)が増加することが確認され(図2)、旋回流と減肉挙動の相関関係が明らかとなった。
3. 減肉挙動に対する旋回流影響モデルの提案と評価
2.の結果をもとに、エルボの曲げと向きによる旋回流強度の変化を考慮した旋回流影響モデルを新たに提案し、実機プラント事例の減肉率と旋回流影響モデルを組み込んだ減肉率の予測値を比較したところ、現行モデルで課題となっていた過度に保守的な予測傾向が改善することが分かった(図3)。
概要 (英文)
Flow-Accelerated Corrosion (FAC) is a pipe wall thinning phenomenon to be monitored and managed in nuclear and thermal power plants as a high priority. In one of the pipe rupture accidents caused by FAC in the past, it was reported that the swirling flow generated in contiguous piping elements affected FAC behavior at the downstream of the orifice in power plants, but the parameters determining the FAC-related swirl intensity remained unclear. To add the effect of swirling flow to FAC and Liquid Droplet Impingement Erosion (LDI) Prediction Software for Pipe Wall Thinning (FALSET), which was developed by authors, the dominant swirl intensity parameters must be elucidated. In this study, the effect of swirling flow on the FAC behavior at the downstream of the orifice was elucidated using numerical simulations. From the results, we found that the elbow angle was one of the dominant swirl intensity parameters. The geometric factor expressing the intensity of FAC increases with swirl intensity. Finally, the FAC prediction model was constructed by applying the relationship between the dominant swirl intensity parameters and the geometric factor.
報告書年度
2019
発行年月
2020/04
報告者
担当 | 氏名 | 所属 |
---|---|---|
主 |
湯淺 朋久 |
原子力リスク研究センター リスク評価研究チーム |
共 |
渡辺 瞬 |
原子力リスク研究センター リスク評価研究チーム |
共 |
内山 雄太 |
原子力リスク研究センター リスク評価研究チーム |
共 |
米田 公俊 |
原子力リスク研究センター リスク評価研究チーム |
キーワード
和文 | 英文 |
---|---|
配管減肉 | Pipe wall thinning |
流れ加速型腐食 | Flow-Accelerated Corrosion (FAC) |
物質移動係数 | Mass transfer coefficient |
旋回流 | Swirling flow |
形状係数 | Geometric factors |