電力中央研究所 報告書(電力中央研究所報告)
報告書データベース 詳細情報
報告書番号
Q19003
タイトル(和文)
壁面に対する近接目視点検用ドローンの試作
タイトル(英文)
Prototype of the drone for close visual inspection for wall surface
概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)
背 景
火力発電設備における高所での近接目視点検では、足場の設置および撤去に多大な労力を要する。様々な分野でドローンの利活用が急拡大しており、電気事業では電力流通設備に対する点検に導入され始めている。そして、火力発電設備での近接目視点検でも活用しようという機運が高まっている。ボイラや煙道内などでのドローンによる近接目視点検では、暗所においても壁面の近傍を安全に飛行できるとともに、ドローンに実装されたカメラの撮影距離、すなわちドローンと壁面の距離を一定に保ちつつ、上下左右に操縦できる機能が必要である。ドローンと壁面の距離を一定に保つ機能を有するドローンは存在するものの注 )、その機能と有効な衝突回避機能を併せ持ったドローンは存在しない。
目 的
レーザ測距技術を利用し、暗所においても撮影距離を一定にした状態で効率的に広範囲の点検を可能とする飛行制御用モジュールを開発する。さらに、同モジュールを実装した近接目視点検用ドローンの動作確認を行う。
主な成果
1. 飛行制御用モジュールの開発
壁面との衝突回避やドローンの機首の向きおよび壁面との距離を制御するために、レーザスキャナ、シングルボードコンピュータおよび920 MHz帯無線マイコン[1]などからなる低コストな飛行制御用モジュールを開発した(図1)。また、衝突回避するための飛行モード(C0モード)、機首を壁面に正対させる飛行モード(C1モード)、それに加え壁面との距離を制御するための飛行モード(C2モード)を考案した(図2)。
2. ドローンの動作確認
屋内において飛行制御用モジュールを実装したドローンの動作確認を行った。壁面を対象として、衝突回避機能では予め設定した接近限界距離でドローンは制動され、また、送信機のボタン操作によって飛行モードを切り替えることにより、ドローンは壁面に正対し、距離を一定に保った状態を維持でき(図3)、上下・左右に操縦できることを確認した。試作したドローンを用いることにより、足場を設置することなく、従来と同等の近接目視点検が可能となる。
概要 (英文)
In the inspection of large structures, when working at high places, detailed arrangement is required, such as the installation and removal of surrounding scaffoldings, the use of work platforms, gondola and rope access. In recent years, with the aging of structures, while the amount of inspection work has increased, it has become a challenge to cope with a shortage of inspectors and to suppress inspection costs. Under such circumstances, there is an increasing expectation for drones as a means of conducting steady and efficient inspections. A drone for carrying out efficient close visual inspection is desired to have a function of flying vertically and horizontally while maintaining a constant distance from the structure. Some recent commercial drones are capable of advanced autonomous flight, such as tracking a moving object while avoiding obstacles, rather than using a camera mounted on the drone. Commercial drones do not have the above functions. this report addresses a drone that can fly vertically and horizontally in addition to hovering while maintaining a constant distance from the wall by attitude control based on distance measurement by laser aiming at visual inspection of the wall surface by drone.
報告書年度
2019
発行年月
2020/03
報告者
担当 | 氏名 | 所属 |
---|---|---|
主 |
福冨 広幸 |
材料科学研究所 構造材料領域 |
キーワード
和文 | 英文 |
---|---|
ドローン | Drone |
レーザ測距 | Laser ranging |
飛行制御 | Flight control |
近接目視点検 | Close visual inspection |
壁面 | Wall surface |