電力中央研究所 報告書(電力中央研究所報告)
報告書データベース 詳細情報
報告書番号
Q18004
タイトル(和文)
欧州軽水炉機器検査能力認証(ENIQ)方式の調査
タイトル(英文)
Investigation of The European Network for Inspection and Qualification (ENIQ) Method
概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)
背 景
原子力発電所の供用期間中検査における超音波探傷試験の検査能力認証制度(Performance Demonstration: PD制度)は,主に米国で行われている米国機械学会規格に従った探傷装置,手順書,試験技術者を一括して実証する方式(ASME方式)と,検査手順と探傷装置の技術評価(TJ:Technical Justification)と試験技術者の技量確認から成るENIQ(European Network for Inspection and Qualification)方式があり,それぞれに長所と短所がある。ENIQ方式はTJに重点を置き,必要に応じて試験技術者の技量確認を実施するため,必要な試験片の数が少なくて済むと言われている。日本のPD制度はASME方式を基に策定したこともあることから,ASME方式の実際の運用については把握している。一方ENIQ方式は,ENIQ RP(Recommended Practice)と呼ばれる指針をもとに,各国がその実情に応じて運用しており,その認証機関の位置づけも複数のケースがある。このため実際にENIQ方式を採用している国の詳細な運用状況の把握が遅れていた[1]。ENIQ方式を採用している国の運用状況を把握することは,今後の日本のPD制度の拡張を検討する上で重要である。
目 的
認証機関の位置づけの異なるENIQ方式採用国の実際の運用状況を調査する。
主な成果
ENIQ方式採用国のうち,認証機関の位置づけが「電気事業者や検査関連組織から独立した第三者機関」であるスウェーデン,フィンランド,英国と,「電気事業者内の組織」であるフランスにおける実際の運用状況を調査し,以下の点を確認した。
(1)各々の国で運用されている規程やTJ結果を記した評価書の内容は,ENIQ RPに従っている。TJ結果を記した評価書には,検査対象,検査システムの概略,探傷装置,データ分析及び試験技術者の要件,試験技術者の探傷技量確認用試験片に関する情報とその実験的検討などが記されている。特に影響のあるパラメータは,シミュレーションや実験によるその許容範囲の検討結果が記されている(表1)。
(2)ENIQ方式を採用している国の事情に因ってTJ結果を記した評価書の細部に差異があるものの,認証機関の位置づけによるENIQ RPの品質情報に係る記載内容の差異は認められなかった。また認証機関の位置づけを問わず,試験技術者の探傷技量の確認が必要な場合もあり,そのための試験片が必要である(図1)。
今後の展開
本調査結果やこれまでに実施したアジア諸国の調査結果から,さらに対象を広げる。
概要 (英文)
To examine the expansion of the ultrasonic detection performance demonstration system in Japan, we investigated how it actually operates in European countries having adopted the European Network for Inspection Qualification (ENIQ) system. The qualification bodies in the United Kingdom, Finland, and Sweden are third-party institutions not involved in non-destructive inspection affiliates and electric-power suppliers, whereas those in France are organizations supported by electric-power suppliers. The contents of the technical justification (TJ) document, based on an approach including a technical evaluation of the ultrasonic testing equipment, procedure, and practical assessment (PA) method, which checked the ability of an inspector to detect flaws using a representative specimen, were determined to be compliant with the ENIQ RP (Recommended Practice) as a general rule, with no particular differences in actual operation of the ENIQ system among countries adopting the ENIQ system. Not did any specific operational differences emerge among countries adopting the ENIQ method. The TJ document clarified the need to describe the tolerances of numerous parameters that could influence examination results, using reference documents, simulations, and experiments with specimens. Numerous specimens were found to be necessary for implementing the PA method.
報告書年度
2018
発行年月
2019/04
報告者
担当 | 氏名 | 所属 |
---|---|---|
主 |
渡辺 恵司 |
材料科学研究所 PDセンター |
キーワード
和文 | 英文 |
---|---|
軽水炉 | Light Water Reactor |
検査能力認証制度 | Inspection and Qualification Method |
供用期間中検査 | Inservice Inspection |
技術評価 | Technical Justification |
探傷技量確認 | Practical Assessment |