電力中央研究所

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電力中央研究所 報告書(電力中央研究所報告)

報告書データベース 詳細情報


報告書番号

Q18001

タイトル(和文)

浅地中ピット処分環境における金属腐食による体積膨張挙動の調査

タイトル(英文)

Investigation of volume expansion resulted from metal corrosion under the condition in near-surface pit disposal facility

概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)

背 景
低レベル放射性廃棄物の埋設施設では、金属廃棄物が腐食生成物に変化することによる体積膨張がバリア機能に影響を及ぼす懸念がある。金属の腐食膨張前後の体積比(以下、体積比と示す)の推定が求められている。埋設施設では、温度、pHや酸化還元条件が徐々に変化すると考えられ、また、一部の埋設施設では、廃棄物中に含まれるほう酸イオン、硫酸イオンなどが、金属の腐食挙動に影響を及ぼす可能性が懸念されている。従って、埋設環境の変遷を考慮し、体積比の変化を想定する必要がある。

目 的
浅地中ピット処分の埋設施設を念頭に於いた環境条件で生成する可能性のある腐食生成物を抽出し、それらの真密度から腐食膨張前後の体積比の変化を評価する。

主な成果

1.環境条件の設定
浅地中ピット処分の埋設施設において想定される基本的な環境条件を参考に、腐食挙動に及ぼす影響因子を抽出し、その条件を設定した。また、長期間に及ぶ埋設施設の環境条件の変遷を踏まえて、環境条件を3種類に設定した。

2.各環境条件で予想される化合物形態
文献調査および熱力学コードによる解析結果から、各環境条件で予想される鉄、ニッケル、アルミニウム、銅および亜鉛の腐食生成物の化合物形態を推定し、それらの真密度から各条件での体積比を求めた。
(1) Case 1では、鉄はFe3O4、Fe2O3およびFeOOH、ニッケルはNiOおよびNi(OH)2、アルミニウムではAlOOHおよびAl(OH)3、亜鉛はZn(OH)2が安定に存在する可能性のある生成物として選定された。また、銅は金属銅として安定に存在すると考えられる。これらの化合物の真密度から求めた腐食膨張前後の体積比は、最大で3.6であった。なお、鉄の主要な腐食生成物をFe3O4と仮定した場合、FeOOHの存在比の増加やニッケル、アルミニウム及び亜鉛の混入率の増加により体積比は増加することが分かった。
(2) Case 2およびCase 3では、(H3O)Fe(SO4)2(H2O)3やAl4SO4(OH)10・36H2Oなどの水和物が安定となり得る。これら化合物が実際に生成する場合には体積比がCase 1よりも増大する。

概要 (英文)

There is concern at low-level radioactive waste burial facilities that volume expansion due to the metal waste changing into corrosion products may affect the barrier function and a need to estimate the volume ratio before and after the corrosion expansion of metal. It is assumed that the temperature, pH and redox conditions gradually change in the burial facility and concern that the borate and sulfate ions contained in the waste may affect the corrosion behavior of the metal. Accordingly, any change in the volume ratio considering the transition of the buried environment needs to be taken into consideration. In this report, corrosion products that may be generated under environmental conditions assuming buried facilities are determined, and expansion behavior based on their density is estimated. Under basic conditions assuming a buried environment after multiple millennia, Fe3O4, Fe2O3 and FeOOH for iron, NiO and Ni(OH)2 for nickel, AlOOH and Al(OH)3 for aluminum, and, Zn(OH)2 for zinc were selected as stable products under the conditions. For copper meanwhile, metallic copper was chosen. The volume ratio before and after corrosion expansion as determined from the density of these compounds peaked at 3.6 and where sulfate ions coexist, and the formation of sulfide or hydrate is assumed, the volume ratio increases more than in Case 1.

報告書年度

2018

発行年月

2018/11

報告者

担当氏名所属

藤原 和俊

材料科学研究所 電気化学領域

キーワード

和文英文
低レベル放射性廃棄物 Low-level radioactive waste
浅地中ピット処分施設 Near-surface pit disposal facility
金属 Metal
腐食 Corrosion
体積膨張 Volume expansion
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