電力中央研究所 報告書(電力中央研究所報告)
報告書データベース 詳細情報
報告書番号
Q17006
タイトル(和文)
原子炉圧力容器の圧力・温度制限曲線簡易作成プログラムの開発
タイトル(英文)
Simplified P-T Limit Curve Generator for Reactor Pressure Vessels
概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)
背 景
原子炉圧力容器は核分裂によって生じる中性子に曝され、破壊靭性が低下することが知られている。破壊靭性が低下したとしても圧力容器が将来にわたって健全であることを確認する必要があり、その評価方法が日本電気協会技術規程JEAC4206-2007「原子力発電所用機器に対する破壊靭性の確認試験方法」に規定されている。
JEAC4206-2007では原子炉圧力容器の破壊を防止するため、運転中の内圧によって生じる膜応力に加えて冷却材の温度変化によって生じる熱応力を考慮した上で、圧力容器の内圧と冷却材温度の間に制限を設けている。
原子炉の新設時には上記制限条件より得られる圧力・温度制限曲線に基づき運転条件が設定されているが、原子炉の健全性評価方法が最新知見により改善された場合や、運転期間が延長される場合には制限曲線の見直しが検討されることもあり、容易に制限曲線を作成できる解析プログラムは有用である。
目 的
加圧水型原子炉(PWR)の運転条件と圧力容器および冷却材の物性値や寸法を入力データとして、JEAC4201-2007に基づき圧力・温度制限曲線を簡易に作成できるプログラムを開発すること。
主な成果
1. 圧力・温度制限曲線を作成するプログラムの開発
原子炉の起動時および停止時(耐圧・漏えい試験時を含む)における冷却材の温度推移から圧力容器壁内の応力分布を得るために熱伝導方程式を数値計算し、さらにJEAC4206-2007に基づく破壊靭性評価を行うことで圧力・温度制限曲線を作成するプログラムを開発した(図1)。熱伝導計算は圧力容器の形状から軸対称一次元とし、圧力容器外面は断熱条件、容器内面と冷却材の界面では熱伝達を考慮した。
2. 圧力・温度制限曲線に対する影響因子(運転期間)を変化させた時の評価例
圧力容器の材料および照射条件としてCu含有量0.1 mass%、Ni含有量0.6 mass%、冷却材温度289℃、内表面における中性子束 5×〖10〗^10 n⁄((cm^2 s) ) (E>1MeV)を用いて圧力・温度制限曲線を作成した。原子炉の運転期間の変化が圧力・温度制限曲線に与える影響について、開発した解析プログラムを用いて評価することができた(図2)。
概要 (英文)
Although the fracture toughness of reactor pressure vessels decreases over time due to neutron irradiation, the integrity of the vessel must be retained during plant operation under fracture toughness degradation. JEAC 4206-2007 specifies validation test methods for the fracture toughness with the pressure-temperature limit curve (P-T curve) which is one of the standard for the vessel integrity. The P-T curve is obtained by comparing the fracture toughness of the vessel and the stress intensity factors obtained from hoop and thermal stresses. We have developed a numerical analysis program to facilitate the P-T curve evaluation, which includes the thermal conductivity in the vessel wall and P-T curve generation based on JEAC 4206-2007. The numerical simulation of thermal conductivity is carried out using the axial symmetric one-dimensional thermal conductivity equation and the program allows the sensitivity of parameters such as RTNDT, chemical components and vessel dimensions to be analyzed. Our program has been applied to evaluate the curve for long term operation as an example to showcase its potential.
報告書年度
2017
発行年月
2018/03
報告者
担当 | 氏名 | 所属 |
---|---|---|
主 |
中島 健一 |
材料科学研究所 構造材料領域 |
共 |
三浦 直樹 |
材料科学研究所 |
キーワード
和文 | 英文 |
---|---|
原子炉圧力容器 | Reactor Pressure Vessel |
圧力・温度制限曲線 | P-T Limit Curve |
破壊靭性 | Fracture Toughness |
熱伝導解析 | Thermal Conductivity Analysis |
数値シミュレーション | Numerical Simulation |