電力中央研究所

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電力中央研究所 報告書(電力中央研究所報告)

報告書データベース 詳細情報


報告書番号

Q17005

タイトル(和文)

太陽電池性能の経年劣化予測技術の開発(2)-新型太陽電池性能の解析式に基づく感度分析-

タイトル(英文)

Prediction of reliability and durability in photovoltaic modules (2) - Sensitivity analyses based on analytical models -

概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)

背 景
電力系統に大量連系された太陽光発電の出力現況値を正確に把握するために、初期定格値からの出力低下量を見積もる技術が近い将来に必要になることが予測される。これに向けて、当所では、屋外実使用状態での発電出力データの経年変化の分析と併せ、太陽電池の主要な劣化要因が発電性能に与える影響を明らかにするため、太陽電池モジュールのシミュレーション技術を開発している[1]。太陽電池モジュールを構成するセルでは、近年市販されている新型太陽電池において、高い効率を実現する構造の劣化が性能に与える影響を明らかにする必要がある。この際に、解析式は物理的なメカニズムに基づく計算を簡易に行うことができる利点がある。
目 的
新型太陽電池に対応可能な解析式を導出して、想定される経年劣化要因が発電性能に与える影響を明らかにする。
主な成果
1. 新型太陽電池の解析式の開発
太陽電池の内部パラメータが発電性能に与える影響を計算するため、太陽電池の等価回路に基づくダイオードモデルの既存解析式を、主要な3種類の新型太陽電池(図1)の構造に合わせて修正し、多種類の太陽電池に対して発電特性を解析的に計算できる手法を開発した。これにより、PERC太陽電池などの2次元構造やHIT太陽電池などの多層構造における出力特性を簡易に計算することを可能にした。

2. 内部パラメータの変化に対する感度分析
太陽電池セルの出力特性計算への解析式の適用性を明らかにすると共に、各種の太陽電池に対して想定される内部パラメータの変化が発電性能に与える影響を示した。
・p型シリコン基板での少数キャリアの拡散を厳密に扱った解析式の結果が、従来の市販品太陽電池について計算可能な既存の太陽電池シミュレーションコードPC-1D注 )の計算結果と一致することを、典型的な市販品の構造で確認した(図2)。
・HIT太陽電池では、a-Si:Hの欠陥準位の増加は、開放電圧に影響するa-Si:H/シリコン基板界面の正孔密度を減少させるため、選択的に開放電圧が減少する。
・バックコンタクト太陽電池で、ひび割れによるシリコン基板の少数キャリアライフタイムの減少をもとに、拡散での損失の増加が短絡電流密度と開放電圧に与える影響を概算した(図3)。

概要 (英文)

Analytical models based on the diode model for recent advanced solar cells having high conversion efficiencies were presented. First, analytical equations of parameters in the diode model were reviewed for conventional commercial Al-BSF (Back Surface Field) solar cells. Current-voltage characteristics calculated with the analytical equations for a typical Al-BSF solar cell agreed with those with a one-dimensional solar cell simulator called PC-1D. On the basis of the analytical equations of the Al-BSF solar cells, analytical models for the advanced solar cells, PERC (Passivated Emitter and Rear Cell), HIT (Heterojunction with Intrinsic Thin layer), and IBC (Interdigitated Back Contact) solar cells, were derived. High energy conversion efficiencies of these advanced solar cells were demonstrated with the analytical models. Sensitivity analyses of the performance on possible degradation of the parameters related to durability were also conducted; appreciable decrease of open-circuit voltages in HIT solar cells, which is consistent with a result reported in practically field-installed HIT solar cells, and decrease of not only open-circuit voltages but also short-circuit currents in IBC solar cells were suggested.

報告書年度

2017

発行年月

2018/03

報告者

担当氏名所属

宇佐美 章

材料科学研究所 電気材料領域

石井 徹之

材料科学研究所 電気材料領域

キーワード

和文英文
新型太陽電池 Advanced solar cell
計算機シミュレーション Computer simulation
経年劣化 Durability
感度分析 Sensitivity analysis
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